日本科学技術連盟(日科技連)日本品質管理学会は12月10日,「ソフトウェア品質知識体系ガイド ―SQuBOKガイド―」第1版を発表した。ソフトウエア品質に関する様々な知識を集め,体系化したもの。SQuBOKはSoftware Quality Body of Knowledgeの略で,「スクボック」と読む。

 日科技連が2005年9月に策定部会を発足させ,2006年2月に品質管理学会も研究委員会を組織し,共同でSQuBOKの策定を進めてきた。2006年4月にα版を有識者向けに公開,2007年9月にはβ版を一般公開している。発表した第1版は,オーム社から書籍として出版されている。また,β版がPDFデータとして日科技連のWebサイトで閲覧できる

 「品質の高さを打ち出すことは,日本のソフトウエアの競争力を高めるために有効なアプローチの一つ。しかし,これまでソフトウエアの品質とはどのようなものなのかがわかっていない状態だった。SQuBOKはそれを体系化し,形式知にしたもの。体系化することで,ソフトウエアの品質に携わる人がどのような能力を求められ,なにができなければならないかが明確になる。資格制度を作ることもできる」と,SQuBOKの策定を主導してきたメンバーの一人である飯塚悦功 東京大学大学院教授は話す。

 SQuBOKガイドは,(1)ソフトウエア品質の基本概念,(2)ソフトウエア品質マネジメント,(3)ソフトウエア品質技術という三つのカテゴリで構成する。各カテゴリには複数の知識領域が設定され,知識領域全体で約200項目のトピックが盛り込まれている。

 知識を階層化された樹状に構造化することで,可視化するのが狙い。事例を盛り込んだり,参考文献として論文よりも書籍を重視するなど,より実務に即した情報を得るためのよりどころとなることを目指している。1~2年ごとにトピックの拡充などの改定を行う予定。

 日科技連と日本品質管理学会は今後,JISやISOでの標準化も視野に,セミナーなどを通じてSQuBOKの普及を進めていくほか,1年程度をかけてSQuBOKをベースとした資格制度を整備していく。アジア諸国を中心に海外展開も計画しており,英語と中国語への翻訳を準備している。