写真 Vista上で動作するWebブラウザでXPの字体(下)を表示したところ
写真 Vista上で動作するWebブラウザでXPの字体(下)を表示したところ
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 富士通は12月7日、Windows Vista/XPなどOSのバージョンが違っても、Webブラウザで表示する漢字の字体を統一できるようにした新ソフト「Interstage Charset Manager Web入力 Agent」の説明会を開催した。文字コード体系の新規格「JIS2004」を採用しているWindows Vista上で、同XPと同様の「JIS90」規格に従った漢字を入力・表示できる。反対にXP上で、同OSが未対応のJIS2004に従った字体を入力・表示することも可能だ。新ソフトは、11月に出荷を開始している。

 仕組みはこうだ。Webサーバー上で動作する新ソフトは、文字コードと漢字の変換テーブルを保持しており、OSによって字体が異なる漢字については、画像データに変換してWebブラウザに送信する。このため、どちらのOS上で動作するWebブラウザでも、同じ字体が表示される。文字入力時に字体を変換するため、新ソフトは、字体変換用のソフト部品をWebブラウザに送信する。そのソフト部品がパソコン上で漢字の入力があった都度、OSによって字体が異なる漢字だけを抽出してサーバー側に送信。対応する漢字の画像データを受信し、パソコンの画面上に表示する。

 写真の下が、Windows Vistaで同XPまでの「JIS90」規格に従った字体を表示した例だ。上は、Windows Vistaで表示される本来の字体。見比べると、「辻」「祇」「鯖」「噌」「榊」の字体が異なる。例えば辻なら、XP以前は「1点しんにょう」だがVistaは「2点しんにょう」だ。これら5文字がサーバーへの送信対象となる。

 パソコン上で動作する漢字変換用のソフト部品は、サーバーからクライアントに自動送信され、Webブラウザ上で動作する。このため「パソコンにはソフトウエアのインストールが一切不要だ」(富士通の野島伸一ソフトウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部第一開発部部長)。

 同様の仕組みで、旧字など各企業が独自に定めた「外字」データの文字コードをシステム間で統一することもできる。「人名用漢字やメインフレームの特殊文字、中国簡体字/繁体字など合計9万字を格納した辞書を用意している」(野島部長)。

 富士通は、大量の人名データを扱う保険会社や自治体などに売り込む。価格は140万円から。別途、Interstage Charset Manager Standard Edition(50万円から)が必要。9万字を格納した「同外字データライブラリオプション」は別売りで180万円から。