exFATに対応し、1ファイル当たりのサイズを拡大
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システムボリューム以外もBitLockerで暗号化可能に
システムボリューム以外もBitLockerで暗号化可能に
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画面を圧縮して送信することで、リモートデスクトップの通信を効率化
画面を圧縮して送信することで、リモートデスクトップの通信を効率化
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 マイクロソフトは2007年12月7日、2007 Office system Service Pack 1(SP1)、およびWindows Vista SP1に関する記者説明会を開催した。2007 Office systemのSP1では安定性やパフォーマンスを向上させるほか、IME 2007の不具合を改修するモジュールを用意。Windows VistaのSP1については、企業ユーザーにとっても多くのメリットがあると強調した。VistaのSP1は既にRC版(リリース候補)が完成し、来週にも一般ユーザーにダウンロード公開される見込み。正式公開は、2008年第1四半期を予定している。2007 Office systemのSP1の公開時期は未定だが、同社は近々明らかにするとしている。

 2007 Office systemのSP1は、2006年11月のRTM(released to manufacturing;製造工程向けリリース)以降にリリースしたセキュリティや不具合修正などのプログラムを含む。さらに、SP1で新たに提供する修正プログラムもある。ユーザーから報告される不具合のうち件数が多い問題を修正したもので、各アプリケーションについて報告頻度の高い順に少なくとも5つの問題を解消したという。

 SP1には、既に公開済みのIME 2007の修正プログラム (KB938574) も含まれる。IMEの変換精度と速度に関する不具合を解消するもので、「既に公開済みではあるが、SP1でも配布することでより多くのユーザーに使ってもらえると考えている」(インフォメーションワーカービジネス本部 オフィス製品マーケティンググループの飯島圭一シニアプロダクトマネージャ)としている。

 IMEの変換精度については、パソコンの電源を強制的にオフにした際などに辞書が破損し、正しい変換ができなくなる問題を解消した。速度については、パソコンの起動直後などに日本語変換にかなり時間がかかる問題を修正。原因は辞書の読み込みに時間がかかるためで、対処のために学習情報(ユーザーが頻繁に入力する文字などをIMEが自動的に学習した情報)を保持するデータ形式を変更した。同社内のテストに寄れば、例えば「今日は良い天気です」という文章の変換にかかる時間が従来の1/5に短縮。それ以外でも、おおむね20%の速度向上が図られたという。だが、データ形式を変更したため、それまでに蓄えられていた学習情報が消えてしまうというデメリットがある。

企業向けにも利点はある?

 Windows VistaのSP1に関しては、企業向けの機能についての説明が行われた。まず冒頭で、「SP1をインストールしても、互換性が失われることのないように最大限配慮をしている(Windows本部 プロダクトマネジメント部の中川哲部長)と説明。Windows XP SP2で発生したような互換性問題が起こる可能性が低いことを強調した。

 続けて、企業向けに強化した機能を紹介した。まずは、USBメモリーなど外付けストレージ向けのファイルシステム「exFAT」への対応。従来のFAT32やFAT16に比べて、性能向上や1ファイル当たりのファイルサイズ拡大ができるというメリットがある。例えばファイルサイズは、FAT16なら2GB、FAT32なら4GBまでという制限があった。exFATなら、16エクサバイト(エクサはテラの100万倍)までのファイルを作成できる。だが下位互換性がないため、Windows Vista以前のOSや、SP1を未適用のWindows Vistaでは読み取れない。

 ハードディスクを暗号化する「BitLocker」機能も拡張した。これまではシステムファイルが格納されているボリュームしか暗号化できなかったが、SP1からそれ以外のボリュームの暗号化も可能になる。加えて、暗号化の解除方法も変更。従来はUSBメモリーを差し込むことで復号化していたが、SP1ではこれに指紋認証を組み合わせることができるようになった。パソコンとUSBメモリーを同時に紛失しても、データ流出の危険を抑えられる。

 これ以外には、リモートデスクトップ機能で使われているプロトコルRDPの通信効率を向上したり、ICカードを使ったログオン認証に生体認証を組み合わせる方法を追加したりといった改良を加えた。

 なお、Windows XP SP3の提供も同時期に予定されている。従来との互換性を確保しながら、安定性を向上させるという。こちらも、既にRC版が開発者などに対して公開されている。ただRCを一般ユーザーに対して公開するかどうかについては、明らかにされていない。

■変更履歴
記事公開時、本文6段落目に「エクサはギガの100万倍」との記述がありましたが、正しくは「エクサはテラの100万倍」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/1/7 17:15]