「ピーター・ドラッカー氏はかつて『流通は経済の暗黒大陸である』と言った。物流・ロジスティクスの世界はブラックボックスで外部からは見えなかった。しかし,コンピュータと通信技術の進歩がこれまで見えなかった物流・ロジスティクスを,リアルタイムで見えるようにした。『ICT(情報通信技術)=見える化』だと考えている」。
日本通運の川合正矩社長は12月7日,都内で開催された「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2007」の中で流通産業におけるICTの効用をこのように説明した。物流・ロジスティクスがブラックボックスというのは,例えば,トラックが配送に出てしまうと,戻って来るまでどこにいるのかわからない,または顧客は配送中の状況を把握できない,といったことだ。
日本通運はブラックボックスだった物流・ロジスティクスを見える化するため,GPS(全地球測位システム)やGIS(地理情報システム)といった技術を使い,自動配車システム,運行管理システム,貨物追跡システムなどを導入している。
また,世界135拠点を結ぶネットワークを構築。各地に分散する在庫をリアルタイムに一元管理するシステム「REWARDS」を運用する。同システムによって「顧客は洋上在庫も流通在庫として把握できる。これにより,輸送中の商品の到着前に納入先を切り替えるといった機敏な対応が可能になる」(川合社長)という。
川合社長は「経済のグローバル化が進み,最適地からの調達,最適地での生産,最適地での販売を行う時代になった。物流・ロジスティクスもグローバル化し,企業間ロジスティクス,サプライ・チェーンの最適化が求められている」と強調した。