写真1:基調講演でNGN(次世代ネットワーク)について語るNTT持ち株の和田紀夫・取締役会長
写真1:基調講演でNGN(次世代ネットワーク)について語るNTT持ち株の和田紀夫・取締役会長
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写真2:来春に設立する「次世代サービス共創フォーラム」(仮称)の概要
写真2:来春に設立する「次世代サービス共創フォーラム」(仮称)の概要
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 「情報通信分野における日本の国際競争力の低下が叫ばれて久しい。その巻き返しのためにもNGN(次世代ネットワーク)で新しいサービス,ビジネスを創造していきたい。標準化機関の動向を見ながらになるが,NGNで世界の先を走りたいと考えている」---。

 NTT持ち株会社の和田紀夫 取締役会長(写真1)は5日,東京ビッグサイトで開催中の「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2007」の基調講演で,2008年3月に商用サービスを開始するNGNについて,このような抱負を語った。

 講演のテーマは「NGNが目指すもの」。和田会長はNGNの特徴として,(1)QoS(Quality of Service),(2)セキュリティ,(3)信頼性の向上,(4)オープンなインタフェースの4点を挙げる。

 (1)のQoSとは,より臨場感のある高品質な映像や音声通話を実現できるようにすること。(2)のセキュリティは,ユーザーのなりすましを防ぐ回線認証をはじめ,ネットワークの入口で不正アクセスや異常トラフィックを防ぐ仕組みを取り入れて安心・安全なサービスを提供することを指す。

 (3)の信頼性向上については,設備の冗長化はもちろん,次のような利点を説明する。「エリアを特定したトラフィック・コントロール機能を具備する。大量トラフィックが発生すると緊急のトラフィックを優先制御し,帯域を保証する。これにより,インターネットよりも信頼性の高いネットワークになる」(和田会長)。最後に(4)のオープンなインタフェースは,UNI(User-Network Interface),NNI(Network-Network Interface),SNI(Application Server-Network Interface)の仕様を開示し,パートナー企業がNGNを活用したサービスを展開できることを意味する。

 NTTは,2008年春にはパートナーを支援するための「次世代サービス共創フォーラム」(仮称)を設立する予定である(写真2)。NGNに関する情報提供だけでなく,テスト環境も用意する。「営業や技術の相談にも応じる場にしたい。場合によっては出資して,一緒に事業化を推進することも検討している」(和田会長)。

 将来はフォーラムの成果を公表するとともに,対象を世界に広げて国際競争力の強化につなげたいという。「日本が国際競争で巻き返しを図るためのキーワードは『オープン』と『コラボレーション』。異業種や他業界と連携しながら取り組んでいく。NGNへの取り組みは世界各国で始まっているが,標準化機関の動向を見ながら世界の先頭を走りたいと考えている」(同)。