写真●NTTデータビジネスコンサルティングの前田賢二SCMソリューション統括ハイテク事業本部長戦略営業本部長プリンシパル
写真●NTTデータビジネスコンサルティングの前田賢二SCMソリューション統括ハイテク事業本部長戦略営業本部長プリンシパル
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 「市場が成長している場合は、同じ業種の企業はほとんどが成長できる。だが現在のような成熟した社会では、勝ち組と負け組に2極分化する」。NTTデータビジネスコンサルティング(NDBC)の前田賢二SCMソリューション統括ハイテク事業本部長戦略営業本部長プリンシパルはこのように語る。

 前田プリンシパルは「現在の社会で勝ち残るには、商品寿命の短縮やグローバル化などに経営を対応させる必要がある」と説明。「そのために重要になのが当社が提唱している“超スピード経営”だ」と続けた。超スピード経営の概念は一言では説明しにくいが、例えば商品開発に顧客の声を素早く取り入れ、新しい商品をすぐに提供できる企業であるために必要なものだ。商品寿命がどんどん短縮している社会状況の中では強くこういった経営が求められるという。あるいは、グローバル化により、拠点間の距離が長くなっても、サプライ・チェーンの効率が変化しない経営であるともいう。

 超スピード経営を実現するためは、経営意思決定サイクル、変革サイクル、事業サイクルの3つを迅速に進めることが不可欠だ。経営意思決定サイクルとは、情報を収集・分析し意思決定するサイクル。前田プリンシパルは「ERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客情報管理)といったシステムごとに分散しているデータを連携させ分析する、いわゆるBI(ビジネス・インテリジェンス)が必要だ」と話す。

 変革サイクルは、組織改革や社員の意識改革のためのもの。前田プリンシパルは「経営者の意思決定を素早く確実に実現することができる組織の確立が必要だ。当然、経営者が素早い意思決定をできることが前提条件になる」と説明する。

 3つ目の事業サイクルは「1番重要なサイクル」(同)。サプライ・チェーンを高速化することで「在庫が低減し、キャッシュ・フローが改善する。特に調達や物流が効率化できるポイントで、SCEM(サプライチェーン・イベント管理)の活用が有効だ」と前田プリンシパルは語る。

 これら3つのサイクルを実現すれば「経営者はBIとSCEMから意思決定に必要なデータを取得し、組織に浸透させることができるようになる。経営のスピードが上がり、顧客の声を反映した商品を素早く提供することが可能だ」(同)。

 2008年4月に施行される日本版SOX法は、超スピード経営を実現する上で追い風になるという。前田プリンシパルは「企業内のデータの文書化が進み、経営の状態を可視化しやすくなる。言い換えれば、評価や分析に必要な各種データがそろうということだ。アメリカでもSOX法の実施と共に、CPM(企業パフォーマンス管理)の導入が進んだ経緯がある」という。