OKI(沖電気工業)と富士通は12月4日、ATM(現金自動預け払い機)用ソフトウエアを共同開発すると発表した。入出金、振込などでの業務アプリケーションで、両社のATMで利用可能にする。サーバーにインストールし、Web経由でATMと接続する。2008年7月以降の販売を予定しており、3年間で銀行、信金、信組200ユーザーへの導入を目指す。

 狙いは、金融機関ごとに開発していたアプリケーションを標準化すること。共通アプリケーションはインタフェースを無償で公開するため、他ベンダーでもミドルウエアをインタフェースに対応させれば、共通アプリケーションを利用できる。共通アプリケーションが普及すれば「ATMの利用者は、どこの金融機関のATMを使用しても同じ画面を利用できるようになり、利便性が向上する」(富士通広報)。

 料金は、取り引き1件当たりの従量課金制にする。従来は、ATMベンダーがハードとソフトを一式で販売していた。共通アプリケーションを導入する場合、初期費用が抑えられる。取り引き数の少ないATMに掛かるコストが減るので、金融機関のリスク回避にもつながる。

 現在、共通アプリケーションのプロトタイプを、OKI製の最新機種「ATM-BankIT」と富士通製の最新機種「FACT-V」で動作検証している。どちらの機種も現在までに約5万台の導入実績がある。まずは、これらのATMへの共通アプリケーションの導入を目指す。

 OKIと富士通は今後、他のベンダーにも共通アプリケーションの開発への参画を打診していく。共通アプリケーションの導入を進めることで利益を得ることが主な目的ではなく「金融機関やATMの利用者の利便性を考えたもの。今後ATM分野では、ハードウエアで競っていく」(富士通広報)。