次世代技術の育成事業を発表する鈴木社長
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次世代基盤技術を解説するIIJの浅羽副社長
次世代基盤技術を解説するIIJの浅羽副社長
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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、次世代技術のインキュベーション(育成)事業「IIJイノベーションインスティテュート」を始める。目的はインターネットの新しい基盤技術を創出すること。日本発の技術を世界規模で普及させることを狙う。新事業を発表した12月3日は、創立15周年にあたる。同社では15周年記念事業と位置づけている。

 具体的な活動スケジュールとしては、まず「新技術公募」を実施、アイデアを持った人材を募集する。応募した技術者は2年間の契約社員として身分を保証すると共に、IIJがネットワーク設備やソフトウエアの検証環境などを提供し、サービスや事業として実現するために支援する。公募受付期間は2008年1月7日から同2月29日まで。

 12月3日に実施した記者会見には同社の鈴木幸一代表取締役社長と浅羽登志也取締役副社長が登場、新事業に対する強い意欲を示した。鈴木社長は、「インターネット技術では、終始米国の後塵を拝してきた」と危機感を示し、その状況を打開するために既存の組織では生かしきれない「とがった」才能を積極的に開拓し、事業化につなげたいとした。ファイル共有システム「Winny」の例を挙げながら、「日本にも技術がないわけではない。その基礎技術を健全な育成につなげるのが、本事業の役割だ」とする。会見に同席した支援者の1人、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部の斉藤信夫学部長は、新事業の役割を「政財界における松下政経塾のように、インターネット分野で人材を輩出する“鈴木塾”のようなもの」と表現した。

 今回の会見で浅羽副社長は、同社がイメージする「次世代基盤技術」を示した。それによると、インターネット上のコンピューティング資源やユーザー・グループをダイナミックに割り当てられるようなものだという。認証や情報管理といったサービス基盤機能を提供する。これは、IPトランスポート機能とアプリケーション機能の中間に位置するものになる。

 同事業への賛同者には、ゴールドマン・サックス証券、ジャフコ、 大和証券エスエムビーシー、野村證券、みずほ証券、三菱UFJ証券、モルガン・スタンレー証券、リーマン・ブラザーズ証券が名を連ねている。