米連邦地方裁判所に反対され,米司法省(DO)と複数の州政府が離脱したにもかかわらず,米Microsoftの独占禁止法(独禁法)違反判決にともなう監視期間の5年延長を望む州の集まり“カリフォルニア・グループ”は,監視継続を求める訴えを裁判官のColleen Kollar-Kotelly氏に提出した(関連記事:米司法省,独禁法違反にともなうMicrosoft監視活動の延長は不要と判断)。裁判を起こした州は,ソフトウエア市場を支配しているMicrosoftにとって,いわゆるライバル企業は本物の脅威にならないと述べた。

 カリフォルニア・グループは11月26日(米国時間),「Intel系アーキテクチャ互換パソコン向けOSおよびWebブラウザという対象市場の発展ペースは,裁判所が終局判決の当初期間を最大5年と決めた際の予測よりも遅い」といった内容の訴状を11月16日に提出したと発表した。「このことは,終局判決の期間が,裁判所の予想した,世間にもたらされる競争主義の利益を生み出すのに十分であったかどうかということと,密接に関係する」(カリフォルニア・グループの訴状)。

 Microsoftはかつて裁判で米連邦政府による監視の即時停止を正当化しようとして,米Google,米Yahoo!,米eBay,米Mozillaといったオンライン業界のライバルや,OS依存性のないAjaxやWeb 2.0などのWeb技術がOS市場を独占しているWindowsの「強力な競争相手」になっていると主張した。

 ところが,カリフォルニア・グループは今回の提訴で,こうしたOSに依存しないソリューションでも,いまだにユーザーを従来型パソコンOSに縛り付けており,多くの場合そのOSは以前と変わらずWindowsである,としている。この種のソリューションが「市場参入時のアプリケーション障壁をなくす」わけではないため,Windowsの独占体制を脅かす勢力にはならない。

 カリフォルニア・グループの技術アドバイザは「Mozilla Firefoxの市場シェアは20%を切っており,Microsoftが作った標準や拡張機能に対する代替品導入を推進できる影響力など持っていない」と指摘し,「近ごろの米Appleによる成功ですら,Microsoftの独占状態をひっくり返す役には立たない」と付け加えた。「全世界におけるApple製パソコンの導入率は3%弱あたりを上下しており,シェアを拡大できずにいる。Intelアーキテクチャ・パソコン用OS市場の競争は,5年という終局判決期間で復活しなかった」(技術アドバイザ)。

 ところで,Microsoftとは別に関係のない米国の大企業のなかに,「不必要な」監視から手を引くよう米連邦政府に求めるところが出てきた。例えば米Visa Internationalと米Weyerhaeuserは,主にMicrosoftの監視期間延長が悪い前例になることを恐れ,Microsoftを擁護する側に立った。両社の弁護士は「一般論として,ある企業が期限の決まった何らかの契約にサインできるのに,何者かが現れて“期間を延長したい”と要求できるなら,契約励行のために何をするだろう」と疑問を投げかけ,「われわれの生活で基準とされる倫理を曲げないようにしよう,とだけ言っておく」と述べた。