米Microsoftは米国時間11月29日,メディア再生/リッチ・インタラクティブ・アプリケーション(RIA)表示用Webブラウザ・プラグインの次版「Silverlight」のロードマップを変更した。2008年上期にリリースする予定だった「バージョン1.1」を「バージョン2.0」に改め,リリース時期も「2008年内」に変更した。バージョン1.1の目玉機能だったDRM対応もバージョン2.0に持ち越される。

 同社開発部門ジェネラル・マネージャのScott Guthrie氏が自身のブログで明らかにした。Silverlight 2.0のベータ版は,2008年第1四半期にリリースされる。MicrosoftはNET FrameworkのUIフレームワーク「Windows Presentation Foundation(WPF)」のサブセットである「Silverlight」の機能を「バージョン1.1」で大幅に強化し,WPFの主要な機能を取り込んで,デスクトップとWebブラウザの両方で利用できるクロス・プラットフォーム・アプリケーションの開発ができるようにする考えだった。

 Guthrie氏は,「機能が大量に追加されることから,(バージョン1.1という)ポイント付のバージョン呼称はふさわしくないと認識し,バージョン名をSilverlight V2.0に変更した」と述べている。しかし,バージョンアップの延期は,Silverlightにとって大きな痛手となるだろう。

 なぜならSilverlight 1.1では,API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)追加のほかにも,DRM(デジタル著作権管理)機能の追加なども予定されていたからだ。「Gyao」を運営するUSENなどのメディア企業は,SilverlightのDRM機能に大きな期待を寄せていた。Guthrie氏は投稿で,DRM機能に触れられていないが,DRMを含むバージョン1.1の機能すべてが,バージョン2.0に持ち越しになる可能性は高いだろう(追記2参照)。

【追記:11月30日14時】
 マイクロソフト日本法人は本件について,「Silverlight 1.1の名称を2.0と変更したことが発表の主な内容であり,スケジュールの延期だとは認識していない」とコメントした。本来Silverlight 1.1がリリースされるはずだった2008年前半には,Silverlight 2.0のベータ版がリリースされ「サード・パーティーはこのベータ版を使用してアプリケーションを提供できる」(マイクロソフト広報)としている。

【追記2:12月3日20時】
 マイクロソフトによると,「Silverlight 2.0ベータは,バージョン1.1に搭載する予定だったDRM機能なども搭載する」という。

■変更履歴
当初「MS,「Silverlight」のバージョンアップを延期」としておりました記事タイトルを,「MS,「Silverlight」のDRM対応を延期」と変更いたしました。本文は修正済みです。 [2007/12/03 12:20]