サイベースは,災害対策用DBを構築するためのソフト「ディザスタ・リカバリ・パッケージ」および「Mirror Activator」を12月5日に出荷する。同社のRDBMS「Sybase Adaptive Server Enterprise(ASE)」を本番サイトと災害対策用サイトに配置し,前者のデータを後者にコピー(複製)することで,本番サイトの障害に備えるための製品。両製品には,データ復旧のサービス・レベルに差がある。

 ディザスタ・リカバリ・パッケージは,同社のデータ複製ツール「Sybase Replication Server」およびASE(コールド・スタンバイ・ライセンス)から成る。このASEを使い,災害対策用サイトに待機系データベースを構築。Replication Serverが,本番系データベースのログ(更新情報)を,トランザクションの整合性を保ちながら待機系データベースにコピーする。本番系データベースに障害が発生した際は,待機系データベースを本番に昇格させ,業務が継続できる。

 一般に,データ復旧のサービス・レベルはRPO(Recovery Point Objective)とRTO(Recovery Time Objective)で表す。RPOは障害からさかのぼってどこまで新しいデータを復旧できるか,RTOは障害発生からデータ復旧に要する時間を指す。ディザスタ・リカバリ・パッケージが適用可能なサービス・レベルは,「RPOが2分未満,RTOが60分未満」といったところである。RPOがゼロではない理由は,Replication Serverが非同期にログを転送するので,待機系データベースに届けられないログがあり得るためだ。より高いサービス・レベルは,Mirror Activatorで実現される。

 Mirror Activatorによる災害対策は,「RPOが基本的にゼロ,RTOが2分未満」といったサービス・レベルである。Mirror Activatorは,ストレージが備えるコピー機能を利用してログをコピーし,その上で待機系データベースにログを適用するというコンセプト。まず,EMCの「SRDF/S」やシマンテックの「Veritas Volume Replicator」といったストレージのコピー機能でログを転送し,本番系と待機系のデータベース間でログの同期を保つ。次に,待機系データベースに対して,Mirror Activatorがこのログを反映する。

 これまでも,ストレージ機能でデータをコピーして,待機系データベースを構築する方法はあった。ただし,ストレージ・レベルでコピーされたデータなので,RDBMSのトランザクション・レベルで整合性を保つことが難しい。Mirror Activatorを使った方式は,「ストレージ機能により本番系と待機系のログを素早く同期して,Mirror Activatorでトランザクションの整合性を確保するという,いいとこ取りしたソリューション」と,同社の花木敏久氏(セールスエンジニアリング部)は説明する。

 製品の価格は,待機系データベース(ASE)が稼働するサーバーのCPU数ごとに課金される。ディザスタ・リカバリ・パッケージが389万9000円/CPU(税別)から,Mirror Activatorが1462万5000円/CPU(同)からである。