ソフィア総合研究所(SRI)は11月29日、全国にある店頭情報端末の余った処理能力を活用する、データセンター・サービスを発表した。フレパー・ネットワークス(東京都港区)がコンビニエンス・ストア、レンタル店など約3000カ所の商業施設に置いた店頭情報端末を活用。SRIの村田篤紀取締役CTOは「余った店頭情報端末のリソースを活用することで、CO2の排出削減など環境問題に寄与できる」と説明する。

 SRIは店頭情報端末が利用者のいない間も電源が投入され稼働している点に着目。3000台の処理能力を束ね、一定の単位で分割してユーザーに提供することにした。SRIが仮想化ソフトの「Xen」をベースにソフトウエアを独自に開発し、サーバーとネットワークの仮想化による運用・管理を実現する計画。

 ユーザーのデータは暗号化して保存し、セキュリティを保つ。また、同じ処理を複数の店頭情報端末で実行するため、万が一端末が故障した場合でもデータが消失することはないという。店頭情報端末内のプロセサの能力、メモリーやハード・ディスク(HDD)の容量はサービスにあわせて増強する。

 SRIは今回のサービスを実現することで、ユーザーが使っただけのリソースに対して料金を支払う「ユーティリティ・コンピューティング」を実現したい考え。チケットの発売開始など、突発的なトラフィック増にも対応できるという。

 今後、08年8月の本サービス開始に向け、同1月からテストを開始し同5月に試験サービスを始める。料金は試験サービスの結果をみて決定する。当初の想定ユーザーは、「SaaSなど企業や個人に向けたサービスを提供する事業者」(村田取締役CTO)だという。ソフィア総合研究所は、データセンターの構築・運営、インターネット事業のコンサルティングやシステム開発を手掛けている。