照井公基 代表取締役社長は「ビデオ・オン・デマンド市場の成長率は期待を下回る。DVDオンデマンド市場が立ち上がる余地は大きい」とする
照井公基 代表取締役社長は「ビデオ・オン・デマンド市場の成長率は期待を下回る。DVDオンデマンド市場が立ち上がる余地は大きい」とする
[画像のクリックで拡大表示]
開発中のDVD記録ソフト「Roxio Venue」を今後パソコンメーカーに売り込む
開発中のDVD記録ソフト「Roxio Venue」を今後パソコンメーカーに売り込む
[画像のクリックで拡大表示]
DVDオンデマンド対応の記録型DVDドライブやDVDメディアの開発も進んでいる
DVDオンデマンド対応の記録型DVDドライブやDVDメディアの開発も進んでいる
[画像のクリックで拡大表示]
キオスク端末のデモ環境も披露した
キオスク端末のデモ環境も披露した
[画像のクリックで拡大表示]

 家庭向けや業務向けのDVD記録ソフトなどを手がけるソニック・ソルーションズは2007年11月27日、ダウンロードした動画をDVDに書き込む技術「Qflix(キューフリックス)」に関する事業説明会を開催した。一般に「DVDオンデマンド」と呼ばれる技術の一種で、コンテンツ配信サービスで購入した動画データを著作権が保護された状態のままDVD-Rなどに書き込めるもの。DVDパッケージとほぼ同等の品質の動画を合法的にダウンロードし、合法的にDVDとして手元に残せるようにする技術と言える。説明会では、デモを交えてQflixの使い勝手を披露した。

 ソニックは、ドライブ/メディアメーカーにQflixのSDKを提供し、これを利用して開発した製品に対して互換性を保証する目的でQflixのロゴを付与する。既に国内のドライブ/メディアメーカーにSDKの提供を始めており、「早ければ2008年7月ごろにQflixロゴ付きの製品群が市場に登場する」(照井公基・代表取締役社長)という。説明会では、開発中のQflix製品として、パイオニアの記録型DVDドライブ、三菱化学メディアの記録型DVDメディアを紹介した。

 DVDオンデマンドは、業界団体「DVDフォーラム」が仕様を定めた技術で、2種類の方式がある。記録型DVD向けの著作権保護技術のCPRMを活用した「CPRM Managed Recording」と、通常のDVD向けの著作権保護技術CSSを活用した「CSS Managed Recording」があり、Qflixは後者に対応したもの。記録型DVDドライブ、記録型DVDメディア、DVD記録ソフトのすべてがCSS Managed Recordingに対応して、初めてDVDオンデマンドを利用できる。

 DVDフォーラムでは、CSS Managed Recordingをパソコン上で利用できるのは、日本では2008年7月以降と取り決めている。ソニックはそれまでにDVDオンデマンド普及の下地を整えたい考えで、まずパソコンメーカーへQflix対応製品を売り込む。同社は現在、DVD記録ソフトをパソコンメーカーにOEM供給しており、この強みを生かし、開発を進めているQflix対応DVD記録ソフトの新製品「Roxio Venue」の採用をパソコンメーカーに促す。同時に、Qflix対応の記録型DVDドライブの搭載についても働きかける。採用が進めば、メーカー製パソコンを購入したユーザーは、Roxio Venueを使うことで動画の購入から記録型DVDへの書き込みまでできるようになる。

 なお、 CSS Managed Recordingの業務向けでの活用は既に解禁されている。このため、DVDオンデマンドに対応した専用のキオスク端末を業者が開発し、記録後のDVDメディアを販売するサービスを提供することは可能。イメージとしては、アスタラビスタが東京メトロの駅構内などで展開中のDVDレンタルサービスに近いが、DVDパッケージを購入する感覚で利用できる点が異なる。

 現時点では、CSS Managed Recordingに対応したコンテンツ配信サービスが登場するかは不透明。ただ、CPRM Managed Recordingを利用したサービスは、2007年9月にKDDIが「DVD Burning」として開始済み。またイーエントリーも、米マクロビジョンの著作権保護技術「RipGuard」を活用したDVDオンデマンド向けサービスを2007年8月に開始している。両サービスとも、価格がDVDのレンタルサービスよりは高いがDVDパッケージよりは安いのがウリ。ソニックがパソコン向けに解禁されていないCSS Managed Recordingを推進するのは、DVDプレーヤーとの互換性の面で他技術より優れており、普及しやすいと見ているため。