住商情報システムで代表取締役社長を務める阿部康行氏
住商情報システムで代表取締役社長を務める阿部康行氏
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対談の様子。阿部康行氏(右)と,インタビューアを務めた日経BP社の田中克己主任編集委員(左)
対談の様子。阿部康行氏(右)と,インタビューアを務めた日経BP社の田中克己主任編集委員(左)
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 SIベンダーが顧客に付加価値を提供する。その結果,顧客の会社が強くなる。これがITサービス事業者であるSIベンダーの目的のすべて。この目的を遂行するためにSIベンダーが目指さなければならない姿は,2つある。(1)提案から設計,開発,運用までをトータルで請け負うワン・ストップ・サービスを提供し続けることと,(2)これだけは他社に負けないという特化した専門性を持つことだ---住商情報システムで代表取締役社長を務める阿部康行氏は「IT Service Forum 2007」で講演し,SIベンダーの仕事をこう定義した。

 講演で阿部氏は,業務のやり方が標準化されつつある点に着目し,これに警笛を鳴らした。標準化によって無駄を省くという考え方自体は素晴らしいとしたものの,何でもかんでもグローバル・スタンダードのまねをする動きは「極めて注意を要する」と警告する。「日本には摺り合わせ文化があり,日本独自の文化と商習慣がある。社会基盤が異なる国で生まれた標準をそのまま適用するべきではない」(阿部氏)。コスト削減を目的とした業務の効率化については標準化が有効だが,企業競争力の源泉となる部分は標準化が向かないケースも多いという。

 講演後半の日経BP社田中克己主任編集委員との対談では,「システム開発において日本のSIベンダーはインドのSEと戦えるのか」という問いに対して「(顧客企業の業務ノウハウに強いなど)日本独自の世界でなら,日本がインドに負けるわけがない」と断言。「シリコン・バレーと同じことをしていたら,日本は他国に勝てるわけがない。逆に,日本独自の世界でなら,他国に負けるわけがない」とした。