日本版SOX法(J-SOX)対応後の企業経営を考える非営利団体「After J-SOX研究会」が11月26日、発足した。現在、上場企業やその連結子会社が整備・運用している内部統制を、「企業価値向上としてとらえるための施策を研究する」(アビームコンサルティングの永井孝一郎プリンシパル)のが狙いだ。連結経営やERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)を研究テーマに掲げている。

 まずは来年の初めをメドに、「After J-SOX研究会独自の内部統制の成熟度モデルを作っていく」(永井プリンシパル)。内部統制の成熟度モデルは、リスク・マネジメントの世界的な標準フレームワーク(枠組み)である「COSO-ERM」や、ITガバナンスのフレームワーク「COBIT」などを踏まえながら、「研究会として日本企業の現状を踏まえたものを作っていく」(同)という。

 同日開催した第1回の研究会で、会長に就任した立命館大学大学院の田尾啓一教授は「日本版SOX法対応を進めている企業は、内部統制の整備を進めていく段階で、自社のグループ経営のガバナンスの弱さに気付いているはず。せっかく気付いたのだから、このチャンスを連結経営の強化に生かすべき」と指摘。「これまで企業は連結経営といいながら、子会社・関連会社の財務報告しか把握しておらず、人事や経営については押さえられていないかった。これからは日本版SOX法対応で整備した内部統制を土台に、連結でのガバナンスを考えておくべき」(田尾教授)と連結経営の重要性を訴えた。

 After J-SOX研究会の参加者の所属企業は、アビームコンサルティングやプロティビティジャパン、ベリングポイントといったコンサルティング会社のほか、伊藤忠テクノソリューションズやNEC、日本ユニシス、日立製作所といったITベンダーなどである。