富士通の小倉正道代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)
富士通の小倉正道代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)
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 富士通は11月22日、2007年度(2008年3月期)中間期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比6.4%増の2兆5131億円、営業利益は同13.2%減の439億円だった。国内・海外とも増収で、売上高は過去最高だった2000年中間期を上回ったが、ノート・パソコン向けハードディスク・ドライブ(HDD)の価格下落や基盤ロジック製品の伸び悩みなどが影響し減益となった。

 セグメント別にみると、ハードウエアやミドルウエアなどの「システムプラットフォーム」、システム開発やアウトソーシングなどの「サービス」からなる「テクノロジーソリューション」分野は、売上高が前年比5.5%増の1兆5075億円、営業利益は同6.3%増の387億円となった。内訳は「システムプラットフォーム」は売上高が同6.3%減の3173億円、営業損益は41億円減り93億円の赤字。「サービス」の売上高は同9.2%増の1兆1901億円、営業利益は同15.6%増の481億円となった。

 増収増益のサービス事業について、小倉正道代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)は、「国内は保険・証券などの金融分野を中心にSI事業の売り上げが伸びたほか、国内外共にアウトソーシング・サービスが好調だった」と話した。

 一方、減収減益となったシステムプラットフォームについては「国内はIAサーバーを中心にサーバー関連の販売が堅調だったものの、携帯電話の基地局や光伝送システムが伸び悩み前年比16.2%の減収となった」(小倉副社長)。ただ、海外についてはサン・マイクロシステムズと共同開発した『SPARC Enterprise』が販売を開始したことによる売り上げ増や、光伝送システムが北米や英国で伸長したことで、同17.0%の増収となった。

 テクノロジーソリューション以外のセグメントでは、パソコンや携帯電話などの「ユビキタスプロダクトソリューション」は、売上高が前年比8.8%増の5750億円。営業利益は同18億円増の218億円。半導体や電子部品などの「デバイスソリューション」は、売上高が前年比5.6%増の3979億円。営業利益は61億円で同98億円の減益だった。

 純損益は93億円の赤字となった。小倉副社長はこの理由について「欧州市場の会計基準に対応するよう、会計処理方法を変更したため」と説明。欧州市場は欧州域外企業に対し2009年から国際財務報告基準(IFRS)による財務諸表の開示を義務付けている。富士通は欧州市場にも上場しており、今回の会計基準の変更はIFRSへの対応を見越してのものだ。昨年までの会計方法であれば、純利益は76億円だという。

 2007年度通期の連結業績見通しは、売上高5兆4000億円、営業利益1950億円、経常利益1600億円、純利益650億円で、7月26日の発表から変更はなかった。