写真●INAXメンテナンス経営管理本部システム企画部の間瀬雅己部長
写真●INAXメンテナンス経営管理本部システム企画部の間瀬雅己部長
[画像のクリックで拡大表示]

 INAXの子会社で住宅設備機器の保守などを手がけるINAXメンテナンス経営管理本部システム企画部の間瀬雅己部長(写真)は11月21日,東京都内で開催された「スマートフォンセミナー2007」で講演し,カスタマー・エンジニア(CE)の業務用端末として導入したスマートフォンの活用メリットを披露した。

 INAXメンテナンスは,CEが顧客から依頼を受けて修理や点検を行い,受付センターや販売店に業務報告をするまでの業務支援システムとして,2003年11月から「CEモバイルシステム」を導入している。当初は,東芝製のPDA(携帯情報端末)にFOMAカードを挿入して業務用端末として活用。作業現場からPDAを使って業務報告のデータを送信したり,作業予定を見たりすることができるようにした。

 「4年前は,サービスのリードタイム短縮やコスト削減,紙の削減などによる環境負荷対策が主な課題だった」(間瀬部長)。こうした課題に対し,CEモバイルシステムを活用することによって,「従来は3日以上かかっていた作業依頼から完了までの期間が2日以内になり,さらに,データ入力にかかるコストを7200万円削減できるなどコスト削減にも成功した」(間瀬部長)。

 ところが,「導入から4年が経過して,経営陣からは品質のさらなる向上を求められるようになった」(間瀬部長)。また,社会的にも個人情報保護の強化を求められるようになるなど,新たな課題が浮上したと間瀬部長は明かす。PDAが老朽化するとともに,OSのサポート期間が終了したというハード/ソフト面の問題もあった。

 こうした様々な課題の解決のために,INAXメンテナンスが2007年4月に導入したのがNTTドコモのスマートフォン「hTc Z」だ。間瀬部長は,従来のPDAとスマートフォンを比較しながら,次の五つの導入効果を挙げた。(1)端末が盗難されても個人情報や機密情報を削除できる,(2)顧客情報を暗号化して管理できる,(3)情報のダウンロードとアップロードが自動的に行われることでより迅速化が図れる,(4)その場で振り込み用の請求書を発行するプログラムを開発したことで代金回収の早期化を実現,(5)これまでデータ通信カードと携帯電話の別々に支払っていた基本料金を一本化して従来の半分にできた──である。

 スマートフォンの導入によって,セキュリティ強化やコスト削減などを達成できたが,INAXメンテナンスはさらなる活用策にも意欲的に取り組む。間瀬部長は,「今後,INAX製品のQRコードをスマートフォンのカメラで取り込んで情報精度を向上させたり,スマートフォンにペーパー型ディスプレイを接続して,修理に必要な技術情報を現場で確認できるようにしたい」といった将来構想を披露した。