写真●ガートナー ジャパンの石橋正彦セキュリティ担当リサーチ ディレクター
写真●ガートナー ジャパンの石橋正彦セキュリティ担当リサーチ ディレクター
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 セキュリティ製品を手掛けるフォーティネットジャパンは11月21日,セキュリティ製品市場の動向に関する説明会を開催した。その中で講演したガートナー ジャパンの石橋正彦セキュリティ担当リサーチ ディレクターは,「ウイルス対策やIDS(侵入検知システム)など複数のセキュリティ機能を統合的に提供するアプライアンス製品は幻滅期にさしかかっており,機能や使い勝手に不満を感じるユーザーが今後増えてくる」と指摘する。

 石橋氏のいう“幻滅期”とは,製品に過度な期待をするピーク時期を過ぎ,「当初聞いた説明とは機能が異なる」や「うまく使いこなせない」といった不満をユーザーが感じ始める時期のこと。この幻滅期を乗り越えると製品が成熟するという。

 複数のセキュリティ機能をハードウエアと一体で提供する統合セキュリティ・アプライアンスは,「ISA(Integrated Security Appliance)」や「UTM(Unified Threat Management)」などと呼ばれる。シスコやジュニパーネットワークス,チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ,フォーティネットジャパンなどが製品を提供しているが,一部の機能をほかのベンダーからのOEM供給を受けているケースが少なくない。例えばシスコは,ファイアウォール機能やIDS機能は自前でも,ウイルス対策機能は専門ベンダーから技術供給を受けている。

 石橋氏は,「幻滅期では,ユーザーの不満に的確に対応することが求められる。『ここから先はOEM元に聞かなくては分からない』では,ユーザーの理解が得られにくい」と指摘。「ベンダーは自社製品のソースコードまで把握するのが望ましい。その点ではフォーティネットはすべての機能を自社で独自開発しており,評価できる」(石橋氏)。

 また石橋氏は,企業のセキュリティ対策の方向性が変化していることにも言及した。「とにかく製品を導入するのではなく,具体的にどの法制度にいつまでに対応するといった,現実的な対策を実践するようになってきた」(石橋氏)。今後は,「単機能なセキュリティ製品よりも,より包括的なセキュリティ対策が可能な統合型製品の需要が増えるだろう」との見通しも披露した。