米Mozilla Foundationは米国時間11月19日,オープンソースWebブラウザの次期版「Firefox 3」(開発コード名は「Gran Paradiso」)の「ベータ1」版を公開した。多くのバグを修正したほか,セキュリティや信頼性,使い勝手などを改善している。MozillaのWebサイトから各種バイナリを無償ダウンロードできる。

 Firefox 3は,レンダリング・エンジンの新版「Gecko 1.9」を採用する次期Webブラウザ。新レンダリング・エンジンにより,CSSやSVGなどの描画が忠実に行えるようになった。処理速度と安定性も高まり,Firefox全体の性能向上に貢献している。現在の対応OSは,Windows 2000/XP/Server 2003/Vista,Mac OS X 10.4以上,Linux(カーネル・バージョン2.2.14以上)。

 セキュリティ面では,閲覧するWebサイトの運営者を確認できる機能「Identity verification」を追加し,詐欺などの被害を未然に防ぐ。SSL証明書の認証失敗エラー・ページを見直し,分かりやすく正確な内容とした。今後リリースするバージョンは,Extended Validation(EV)SSL証明書に対応し,Webサイトの危険度を表示できるようにする。

 アドオンとプラグインのバージョンを自動確認する機能,実行ファイルのダウンロードをアンチウイルス・ソフトウエアに伝える機能,Windows Vistaのペアレンタル・コントロール設定を読み込む機能も搭載し,セキュリティを強化する。

 使い勝手の面では,ブックマークへのタグ付け機能や,ブックマーク登録/タグ付けWebページをまとめて保存する「Smart Places Folder」機能により,Webページの管理とアクセスを行いやすくする。全画面のズーム表示,ダウンロード再開,タブのスクロール移動といった機能も追加した。Windows Vistaのテーマや,Mac OS Xの「Growl」ユーティリティからの通知にも対応した。開発者向けとして,オフライン実行可能なWebアプリケーションを作るための機能を用意する。

 またメモリー・リークを起こす300件以上の問題を修正した。メモリーの使用方法を改善し,使用中のメモリーが分断されにくくした。

 なお,ベータ版はテスターおよびWebアプリケーション開発者向けの早期テスト版であるため,一般ユーザーの使用には適さない。

 Firefox 3最終版のリリース時期について,Mozillaは「すっかりユーザーに提供できる状態になった時点」とするだけで,具体的な日程を公表していない。MozillaのFirefox 3開発スケジュール・ページにも,今後の予定は掲載していない。

 米メディア(internetnews.com)によると,Firefox 3最終版リリースは2008年の早い時期になる見通し。

[リリースノート]