米AMDは米国時間11月19日,デスクトップ・パソコン向け新型クアッドコア・プロセサ「AMD Phenom 9600」「AMD Phenom 9500」の提供を開始するとともに,同プロセサ・ベースのパソコン・マニア向けプラットフォーム「AMD Spider」を発表した。

 動作周波数はPhenom 9600が2.3GHz,Phenom 9500が2.2GHz。2Mバイトのレベル2(L2)キャッシュ・メモリーおよびL3キャッシュ・メモリーを内蔵し,クロック周波数3600MHzのHyperTransportバスに対応する。ソケットは「AM2+」。1000個ロット時の価格は,Phenom 9600が283ドル,Phenom 9500が251ドル。

 Spiderは,ゲーム・ユーザーやマニアを対象とする技術プラットフォームの名称。Phenomのほか,グラフィックスLSI(GPU)製品系列「ATI Radeon HD 3800 Series」,チップセット製品系列「AMD 7-Series」,Windows向け処理性能チューニング・ソフトウエア「AMD OverDrive」で構成する(関連記事:AMD,ハイエンド・ユーザー向け新型GPU「ATI Radeon HD 3800」を発売へ)。

 「ATI CrossFireX」技術を採用しており,最大4個のGPUを利用できる。システム全体としての処理性能は,最大で2テラFLOPSに達すると見込む。

 Phenom 9600/9500のデータ・バス転送速度は最大毎秒14.4Gバイトあり,Radeon HD 3800などと組み合わせると,解像度1920×1080ピクセルのフルハイビジョン映像(1080P)再生が行える。米Microsoftのマルチメディア用API仕様DirectX 10.1に準拠するほか,HD DVDおよびBlu-ray形式の光ディスクにH.264とVC-1の両フォーマットで記録されたハイビジョン映像のデコードが可能。

 Spider用LSIは製造プロセス・ルールを微細化して消費電力を減らしたほか,電力管理機能「ATI PowerPlay」と,必要とされる処理能力に応じて自動的に消費電力を調整する機能「Cool'n'Quiet 2.0」に対応し,省電力化している。Phenom 9600/9500の熱設計消費電力(TDP)は95Wだが,実運用時の平均的な消費電力は30W前後となる。

 米メディア(InfoWorld)によると,AMDは2008年第1四半期に動作周波数2.4G~2.6GHzのPhenomプロセサをリリースするという。

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