米ベリサインのプロダクトマーケティング ディレクター ティム・キャラン氏
米ベリサインのプロダクトマーケティング ディレクター ティム・キャラン氏
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 「『EV SSL』の導入が始まってほぼ1年。導入した企業では、明らかに効果が上がっている」――。米ベリサインのプロダクトマーケティング ディレクターのティム・キャラン氏は2007年11月19日、日本法人である日本ベリサインが開催したセミナーにおいて、EV SSLの現状などを事例を交えて解説した(写真)。

 EV SSLとは、一般のサーバー証明書(サーバー用電子証明書)よりも厳格な審査によって発行されたサーバー証明書(EV SSL証明書)を利用するSSLのこと。EV SSLに対応したWebブラウザーでは、EV SSL証明書を取得しているWebサイトにアクセスすると、アドレスバーが緑色に表示されるなどして、通常のSSLサイトとは異なることが分かる。Internet Explorer 7(IE7)はEV SSLに対応済み。FirefoxやOperaなども、次バージョンでは標準で対応する予定。

 ベリサインでは、2006年12月にEV SSL証明書を発売。1年経過した現在では、全世界で1600社が導入。複数の企業(認証局:CA)がEV SSL証明書を販売していて、ベリサインのシェアは7割強であるという。なお、日本の企業や組織に向けては、2007年3月に発売した。

 キャラン氏は、「EV SSLはユーザーに安心感を与え、好感度が高い」と強調。EV SSLの導入事例を2件挙げて、その効果を説明した。1件目の事例は、個人向けのローンなどを提供する米DebtHelpのサイト「DebtHelp.com」。

 同サイトでは、(1)(EV SSLに対応している)IE7のユーザーと、(2)(EV SSLに対応していない)IE7以外のユーザーそれぞれにおける、同サイトの利用状況を調査。すると、EV SSLの導入前は両者に違いはなかったが、導入後には、IE7ユーザーによる取り引き件数は11%増加したという。

 もう一つの事例は、米国のショッピングサイト「Overstock.com」。同サイトでも、DebtHelp.comと同じように、IE7ユーザーとそれ以外のユーザーとで、サイトの利用状況がどのように異なるのかを調べた。同サイトでは、買い物を開始したものの(ショッピングカートに商品を入れ始めたものの)、支払いまで進まずに途中で操作を止めてしまったユーザーの割合「離脱率」に注目。

 EV SSL導入前には、IE7ユーザーと非IE7ユーザー間に、離脱率の違いは見られなかったが、導入後は、IE7ユーザーでは離脱率が8.6%低下したという。

 「これらの結果は驚くべきものではない。EV SSLに対するユーザーの信頼感を考えれば、当然の結果だといえる」(キャラン氏)。