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 ファイアウオールやVPNなどセキュリティ製品の老舗、イスラエルのチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズが新規事業拡大策を矢継ぎ早に打ち出している。中小拠点を対象にしたUTM(統合脅威管理)市場への参入、スウェーデンのポイントセックの買収などだ。同社のギル・シュエッドCEO(最高経営責任者)に狙いを聞いた。

■当社の製品はこれまで大手企業や官公庁などで実績を積み上げてきたが、中小規模の拠点を対象にしたラインアップは手薄だった。そこで今春、アプライアンス製品であるUTM-1を投入した。特徴は、大規模拠点向け製品で培ってきたセキュリティ技術を盛り込みながら、中堅中小企業にも手が届く価格帯にしたこと。ここ数カ月の受注数は予測を大きく上回るペースで伸びており、かなり強い手応えを感じている。

■ただ今後のセキュリティソリューションは、これまでのサーバー側のセキュリティ対策だけでなく、クライアント側の対策とセットで提供していく必要が高まるはず。というのは、社員がスマートフォンやPDA(携帯情報端末)といったモバイル機器やUSBメモリーなどで業務データを持ち運ぶ機会が増えており、誤って個人情報を含んだデータを外部に送信してしまうといったリスクも高まっているからだ。

■ポイントセックの買収は当社にとって、クライアントとサーバーの統合セキュリティソリューションを提供する戦略の第一歩となる。ポイントセックのソリューションは、モバイル端末などが持つデータを丸ごと暗号化できる。これを単に当社の既存製品と組み合わせて販売するだけではなく、将来的には融合し、セキュリティポリシーに従って一元管理できるソリューションを用意していきたい。

■もちろんこうしたソリューションの展開に当たってはパートナー企業との連携が不可欠。現在、世界各国で新たなパートナープログラムを展開し始めたところで、詳細は未定だが日本での導入も検討している。実は、当社の顧客の1割以上を日本企業が占めており、最も重要な市場の一つ。今後もぜひ日本のパートナー企業との関係を深めて拡販につなげたい。