日本郵政グループの日本郵便は11月16日、本誌既報の通り、法人向け郵便サービス「後納郵便」の10月分料金請求の一部にミスが発生したと正式発表した。総件数は約1万6000件。現場職員がデータ入力を間違えたことなどが原因だ。

 後納郵便は1カ月分の利用料金を集計し、翌月に一括して請求する。現場職員が入力したデータを基に、郵便システムが料金の集計や請求書の発行などをこなす。日本郵便は10月の民営・分社化に伴い、郵便システムを全面再構築していた。これに合わせて、現場職員のデータ入力方法も全面的に見直した。新しい手順で入力したデータを使って請求処理を回す初のケースで、トラブルが起きた格好だ。

 具体的な事象と原因はこうだ。まず、締め日までに10月分の請求額を確定できなかったケースが955件発生した。データ入力のミスや遅延などが原因である。これらについては、11月の料金請求を取りやめ、11月利用分と合わせて12月に一括請求する。

 送付した請求書にも、3つのミスが見つかった。1つは、顧客データの登録ミスなどにより、顧客が支払い口座に指定した金融機関の口座番号を確認できないケースが7721件あった。2つめは、請求書に表示する振り込み先口座の口座種別を、正しくは「普通預金」なのに「当座預金」と記載したものが4784件あった。原因は財務システムの不具合だ。3つめは、郵便システムの決済系サブシステムにおけるプログラムの不具合により、請求書1890件の作成が遅れた。これらのミスは、いずれも11月15日までに修正した。

 さらに、請求額を誤るケースも発生した。この修正過程で、決済系サブシステムに新たな不具合が発覚。請求書の送付漏れが563件、修正前の誤った請求額を記載した請求書を送ったケースが99件、見つかった。

 請求書の発行が遅れたことなどから、日本郵便は、10月分の料金請求については、納付期限の11月20日を過ぎても、延滞金を徴収しないことにする。

 日本郵便の後納郵便を巡っては、民営・分社化の直後から、現場のデータ入力がうまくいかないなどの問題が発生していた。請求書の作成処理が始まる11月までに巻き返しを図ったが、結果的に間に合わなかった。

 郵政グループでは、10月下旬にもデータ入力ミスなどが原因で10月分給与が正しく支給されないトラブルが発生している(関連記事)。