写真1●米オラクルのラリー・エリソンCEO
写真1●米オラクルのラリー・エリソンCEO
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写真2●同氏講演でのOracle Fusion Applicationsのデモ
写真2●同氏講演でのOracle Fusion Applicationsのデモ
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 「オープンソース」と「業務アプリケーション・パッケージ」。米オラクルのプライベート・イベント「Oracle OpenWorld 2007」を締めくくる、同社のラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)が選んだテーマはこの2つだった(写真1)。同社が注力する、Linuxの保守サービスである「Unbreakable Linux」と次期業務アプリケーション・パッケージ「Oracle Fusion Applications」のビジョンを語った。

 「米レッドハットがやっていないことをやる」。エリソンCEOは、おととい同社が発表した仮想化ソフト「OracleVM」の意味付けをこう述べた。「より速く、管理しやすく」(エリソンCEO)という狙いで、オープンソースの仮想化ソフトであるXenをベースに同社が改良を加えている。

 同社が提供するLinuxディストリビューションの「Oracle Enterprise Linux」やデータベース・ソフトのOracle Databaseとの組み合わせで動作を保証する。システムの稼働中に、データベース・ソフトやアプリケーションが動作するサーバー機を変更できる機能を備える。実際、米デルは直前に行ったマイケル・デル会長兼CEOの基調講演において、そのデモを同社のPCサーバーで実演した。

 オラクルは、OracleVMを11月14日(米国時間)から無償でダウンロード可能にしている。Unbreakable Linuxと同じく、保守サービスを有料とする。24時間365日の保守期限では、2CPUの場合で年間499ドルから、1システムでCPU無制限の場合、999ドルからである。

 もう一方のOracle Fusion Applicationsは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を基盤にした新たな業務アプリケーション・パッケージ。「来年6月までに第1弾を提供開始する」とエリソンCEOは宣言した。営業支援ソフトから出荷開始する。また同時に、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)としても提供する。

 Oracle Fusion Applicationsは、人事や営業支援など、買収した企業の業務パッケージを統合する狙いで開発を進めているもの。ただし、「既存のアプリケーションを単に置き換えるものではない」(エリソンCEO)。例えば、営業支援では、顧客の情報を管理するだけでなく、より“売れる”ための機能を備える。そのために、ビジネス・インテリジェンス機能や既存アプリケーションとの連携機能、ソーシャル・ネットワーキングの機能を含んでいる。

 デモでは、見込み客のリストから購買履歴などの属性情報をドリルダウンし、何が売れそうかを示すといった内容を紹介した(写真2)。

 こうしたオラクルの取り組みは、今後のベンダー動向を占うといえる。オープンソース、仮想化、ソーシャル・ネットワーキング、SOA、SaaSといったキーワードが来年さらに注目を集めるとみられる。