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openSUSEプロジェクトは2007年10月4日,自由に入手して利用できるLinuxディストリビューション「openSUSE 10.3」を公開した(写真1,関連記事「フリーのLinuxディストリビューション『openSUSE』の最新版が公開」)。
openSUSEは欧州を中心に広く利用されているLinuxディストリビューション。米Novell社が提供する有償のLinuxディストリビューション「SUSE Linux」は,openSUSEをベースに開発されている。
複数の版を用意
openSUSE 10.3では,複数の版が用意されている。数多くのパッケージが収録されている「DVD版」(インストール・ガイド),統合デスクトップ環境にGNOMEを採用した「CD-GNOME版」と統合デスクトップ環境にKDEを採用した「CD-KDE版」(インストール・ガイド)がある。
また,光学メディアから直接パソコンを起動できる「GNOME Live版」と「KDE Live版」も用意されている(関連記事)。
変更点や機能強化点
最新バージョンのopenSUSE 10.3では,起動時間の短縮や,仮想環境に「Virtual Box」を利用可能などの変更が行われた。
パッケージ管理システムについても大幅に変更された。パッケージ管理システムに新たに「libZYpp」を採用。これにより,前バージョンまでは行えなかった,コマンドでのパッケージ管理が可能になった。zypperコマンドを利用することで,インストールやアップデート,削除などの操作をコマンドラインから実行できる。
パッケージ関連のグラフィカル・ツールについても変更が加えられた。まず,レポジトリの登録を行う「Configured Software Repositories」と,各レポジトリの有効・無効を切り替える「List of Online Repositories」が追加された(写真2)。
レポジトリとは,パッケージを配布しているサーバーやそのディレクトリ構成を示すデータベースのこと。レポジトリに登録されている情報に基づいて,サーバー上にあるパッケージをダウンロードしてインストールできる。
パッケージの導入がより簡単に
各パッケージのインストールや削除については「Package Selector」ツール(写真3)が,各パッケージのアップデートについては「openSUSE Updater」ツールが,それぞれ利用できる。また,アップデート・パッケージが存在する場合は,自動的にアップデートすることも可能だ。
さらに,Webページ上で公開しているパッケージのリンクをクリックすることでインストールを自動実行できる「1-Click Install」が採用された(写真4)。パッケージのリンクをクリックすると,ファイルをダウンロードした後に「Software installation」ツールが起動し,自動でインストールが行われる。
主要ソフトのバージョン
openSUSE 10.3のカーネルにはバージョン2.6.22.5,glibcにはバージョン2.6.1,gccにはバージョン4.2.1が採用された(写真5)。
X Window Systemには,「X.Org X11 R7.2」が採用された。デスクトップ環境として「GNOME 2.20.0」(写真6),または「KDE 3.5.6」(写真7)が利用できる。
さらに,グラフィックス・カードの描画機能を利用した「Xgl」が搭載されており,デスクトップ環境の「Compiz Fusion」と併用することでウインドウの透明化や3次元デスクトップを利用できる。
ネット用のアプリケーション
インターネット関連のアプリケーションには,Webブラウザ「Firefox 2.0.0.6」,メール・クライアントには「Evolution 2.12.0」などが利用できる(写真8)。オフィス・ソフトでは,「OpenOffice.org 2.3.0」がインストールされる(写真9)。
画像処理関連ではフォトレタッチ・ソフトの「GIMP 2.2.17」,ドロー・ソフトの「Inkscape 0.45」(写真10),マルチメディア関連ではマルチメディア・プレーヤの「Totem 2.17.0」,CD/DVDライターの「brasero 0.6.1」(写真11)などが利用できる。
openSUSEではまた,オープンソース・ソフトウエア以外のアプリケーションを,openSUSEのインストールと同時に導入できるようになった。この変更に伴い,インストール時に各アプリケーションのライセンス情報が表示され,インストールするか否かを尋ねられるようになった(写真12)。
例えば,マルチメディア・プレーヤの「RealPlayer」や,Webブラウザ上で動的コンテンツを再生する「Adobe Flash Player」などをインストールできる(写真13)。さらに,「Java 2 Runtime Environment」もインストール可能だ。JavaプラグインをWebブラウザのpluginディレクトリにリンクしておけば,Javaアプレットを動かせる。(写真14)。
openSUSEの特徴である「YaST2」も,当然ながら,利用可能だ(写真15)。ネットワークを介したアプリケーションのインストールやアップデート,ユーザーの管理,ハードウエアの設定などが統合的に行える。