SAPジャパンは11月14日、同社が提唱するEnterprise SOA(サービス指向アーキテクチャ)も基づいてシステムを構築した企業向けに、新たなサポート・サービスを提供すると発表した。「SAP製品だけでなく、自社開発や他社製のアプリケーションもサポートする」(独SAP グローバルサポート エグゼクティブ バイスプレジデントのウベ・ホンメル博士)

 新サービスは、障害原因分析や変更管理、サービス・レベルの管理などを、遠隔監視などの手段でSAP自身が提供する。対象は、SAPのミドルウエア群「NetWeaver」上で動作し、かつSAPの運用管理ソフト「SAP Solution Manager」で管理しているアプリケーションである。

 非SAP製品を含めSAP自身がサポートする理由について、ホンメル氏は「SOAに基づいてシステムを構築した場合、複数のアプリケーションが混在する。こうした環境で、企業がそれぞれのアプリケーションを保守していくのは難しい」と説明する。

 SAPは新サービスを実現するために、「アプリケーションの標準的な運用・保守の手順書を用意した」(ホンメル氏)。手順書は、障害原因分析」「変更管理」「ビジネスプロセスの統合と自動化」「ソフトウエアアップグレード」の4種類の業務について、企業のシステム部門や利用部門が実施すべき項目を定義している。

 新サービスを利用する企業は、この手順書に基づいて運用・保守を実施する。その際にSolution Managerを利用することが条件だ。Solution Managerの導入方法も手順書に示されている。SAPのWebサイトから無償でダウンロードできる。

 SAPジャパンは手順書の提供のほかに、運用・保守を標準化するためのトレーニングや、運用・保守に特化したコンサルタントの認定制度を開始する。ホンメル氏は「パートナー企業だけでなく、顧客企業のシステム部門や利用部門向けのメニューも用意している」と話す。

 新サービスの対象は、SAPジャパンとプレミアム・サポートの契約を結んでいる大企業になる。ホンメル氏は「先行して同様のサービスを提供している欧米では、『Fortune1000』に入っている企業を主な対象にしている」と説明する。中堅企業については、「パートナー企業を通じて、同様のサービスを提供できるようにしたい」(ホンメル氏)という。