総務省の情報通信審議会電気通信事業部会の接続委員会は11月13日,NTT東西地域会社が提供するNGN(次世代ネットワーク)の接続ルールの在り方を検討するための初会合を開いた。

 同委員会では,(1)NTT東西のNGN設備には「指定電気通信設備」としての規制が必要かどうか,(2)NGNの機能や設備のアンバンドル化の是非,(3)NGNの接続料の算定方法――などを検討する。委員会での議論を経て,2008年3月下旬に電気通信事業部会で答申を出す予定だ。

 今回の会合にはNTT東西が参加し,冒頭でNGNの概要について説明。その後,接続委員会の事務局となっている総務省総合通信基盤局料金サービス課が,検討項目の概要や,パブリック・コメントに寄せられたNGN接続ルールに関する主な意見を紹介した(関連記事)。

 有識者などで構成される委員による自由討論では,NTT東西への質問が相次いだ。具体的には,「FMC(fixed mobile convergence)の実現やプラットフォーム機能の実装についての考え方」,「既存フレッツ網や加入電話網の巻き取りスケジュール」,「『NGNにはボトルネック性がない』とするNTT東西の主張の根拠」などの質疑が行われた。

 そのほか,NGNのアクセスとなる光ファイバの貸し出し方式についても複数の委員から意見が出た。これは,最低8分岐単位でNTT東西が貸し出している共用型の光ファイバを,1分岐単位で借りやすくするべきかどうかを巡る議論。貸す側のNTT東西と,借りる側のKDDIやソフトバンク・グループなどで意見が対立している(関連記事)。この件は,過去にも接続委員会などで議論されてきたが,「NGNの接続ルールを検討する際に改めて議論する」と結論を先送りにされていた。

 委員からは,「光ファイバの分岐問題はNGN接続ルールの大きな論点。将来的にもNTT東西は分岐方式を続けるのか」,「ユーザー拡大に役立つなら,競合事業者に(1分岐単位で光ファイバを)提供し,設備を有効利用できる方法を考えてもいいのではないか」,「NTT東西が1分岐単位で光ファイバを貸し出すメリットは全くないのか」などの意見が出た。

 今週金曜の11月16日には,同委員会の会合に主要通信事業者の首脳を招いて合同ヒアリングを実施する予定。NTT東西やKDDI,ソフトバンクなどの事業者が参加する。光ファイバの1分岐貸しの是非を含む,NGNの接続ルールの在り方について,各通信事業者のトップによる激しい意見の応酬が予想される。