経済産業省は11月13日、情報処理実態調査(2006年)の結果を公表した。専任または兼務でCIO(最高情報責任者)を任命している企業は40.5%で、前年度より3.6%増えた。しかし、CIO任命企業の53.6%が「CIOの役割(ミッション)を定めていない」と回答。さらに61.4%が「CIOがITの知識を有していない」と答えるなど、CIOの役割や知識に課題があることが浮き彫りになった。

 約4割の企業にCIOがいるものの、「専任」は全体の8.0%にすぎない。CIO(専任または兼務)の職位としては、約7割(68.8%)が取締役だったが、残りは部長クラス(21.0%)、その他(10.2%)であった。兼任の実態をみると、最も多かったのが「他の役員」で64.6%(前年度比4.4%減)。これに「システム部長(22.8%、同2.8%増)」が続く。社長(CEO)が兼務している企業は5.9%(2.3%減)だった。

 一方、CIOを任命していない企業に対して理由を聞いたところ、半数近い44.6%が「(CIOは)必要ない」と回答。「必要性は感じているが対応できていない」と回答した企業の割合(43.4%)を上回った。「社外のコンサルタントを活用している」と答える企業も8.1%あった。前年度の調査までは、「必要ない(前年度は42.1%)」が「対応できていない(同53.9%)」を下回っていたが、今回、初めて逆転した。

 同調査では、CIO機能の有無との相関性は分からないものの、IT戦略の立案や社内での周知が進んでいない実態も明らかになった。「IT戦略ビジョンがない」企業は全体の38.3%を占め、企業グループ全体(企業グループがない企業は企業単体)で「IT戦略を策定している」とする割合(34.9%)を上回る。IT戦略の周知についても、「特に必要ない(3.9%)」「共有化が図れていない(38.1%)」と後ろ向きな回答が約4割を占める一方、「経営戦略に織り込まれている」との回答は22.1%しかなかった。

 同調査の対象は、資本金3000万円以上で従業員50人以上の国内9500社。2005年4月から06年3月まで1年にわたって、各企業のIT投資額やIT推進体制などを調査した。CIO機能の有無のほかにも、「IT投資額のうち、新規システムへの投資は約3割」「EDIの利用企業が初めて5割を超える」「IT投資の事後評価は2割しか実施してない」など、参考になる情報が多い。これらの調査結果は、同省のWebサイトで公表されている。