写真●NTTデータの山田伸一常務執行役員基盤システム事業本部長
写真●NTTデータの山田伸一常務執行役員基盤システム事業本部長
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 NTTデータは11月12日、インドのソフトウエア・ベンダー「バーテックス」の発行株式68.7%を取得すると発表した。株式の取得は12月上旬を予定しており、バーテックスはNTTデータの連結子会社となる。代表取締役にNTTデータの山田伸一常務執行役員基盤システム事業本部長が就く。株式取得に掛かる費用は非公表。NTTデータにとって、バーテックスはインドで初めての開発拠点になる。

 バーテックスは1996年設立。2006年度の売上高は約6億2000万円で、すべてオフショア開発によるもの。半分が日本向け、残り半分は米国向けである。日本ではNTTドコモやセントラル・コンピュータ・サービスなど、アメリカではマイクロソフトなどにサービスした実績を持つ。従業員は約200人。このうち、約4割が日本語能力に関する検定資格を持っているという。

 インドのオフショア開発は欧米向けが全体の90%以上を占めており、日本向けは少ない。日本向けオフショアを手掛けてきた理由について、バーテックスのニティン・ダタール日本支店長は「設立当初は米国がITバブルであり、すでにインドの大手ITベンダーが米国に入り込んでいた。設立間もない零細企業だった当社にチャンスは少なかったので、米国より日本の方が成功できる可能性が大きいと考えた」と話す。

 NTTデータの中村逸一基盤システム事業本部ソフトウェアビジネス推進室長は「カントリー・リスクを分散するため、中国以外の拠点を検討していた。日本企業のオフショア開発に利用したいと考えていたので、日本語能力が高いことが条件だった。バーテックスは日本語の仕様書を日本語のままインドに持ち帰って開発することができるなど、求めていた条件と一致した」と買収の狙いを語った。

 バーテックスの今後の目標は「現在の売上高と従業員を、今後3年間でそれぞれ2~3倍にすること」(中村室長)という。その際の売り上げ内訳は、NTTデータと、それ以外の日本企業、米国企業がそれぞれ3分の1ずつを目指す。

 現在のところ、NTTデータの海外発注金額は約40億円で、そのうち95%を中国へのオフショアが占めている。NTTデータは09年度のオフショア発注額を100億円にまで伸ばす計画で、そのうちインドの発注比率を1割強にしたい考えだ。