ウィルコムは11月9日,タイのPHS事業者であるアジア・ワイヤレス・コミュニケーション(AWC)と,タイへの次世代PHS導入の可能性について共同で検討する契約を締結したと発表した。今後,ウィルコムが技術面で協力しながら,AWCが次世代PHSの事業化を検討することになる。

 AWCは1999年11月にタイのバンコク市内でPHSサービスを開始。2007年10月時点で約30万人のユーザーを抱える。2003年12月にウィルコムと提携し,タイと日本の間でローミング・サービスを展開している。

 ウィルコムはこの取り組みを通じて,次世代PHSが国際規格であることアピールする考えだ。同社は現在,次世代PHSを事業化するため,総務省に2.5GHz帯の割り当てを求めている。しかし,同じく2.5GHz帯の事業参入を狙う事業者には,アッカ・ワイヤレス,オープンワイヤレスネットワーク,ワイヤレスブロードバンド企画といったモバイルWiMAXを採用する予定の企業もある。参入できるのは最大2社であるため,半分は“落選”することになる。

 総務省は,4社への非公開ヒアリングなどを通じて,2007年内にも割り当て事業者を決める見込みだ。モバイル WiMAX陣営は,米国や韓国での導入が進んでいるなど通信規格の国際性を売り文句している。次世代PHSを担ぐウィルコムは,「国内独自規格」のイメージを覆すべく最後のアピールをしている格好だ。

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