米Microsoftは11月第2週,「Windows Server 2008」ベースの中堅企業向けサーバー・スイート「Centro」(開発コード名)の正式名称と提供時期を発表した。製品名を「Windows Essential Business Server」とし,2008年上半期に販売を始める。

 同スイートはまだ限定ベータ試験の段階にあるが,2008年初めにベータ・ユーザーを増やすという。ただし,使ってみるにはちょっと驚く規模のシステムが必要となる。Windows Essential Business Serverを導入するには,3台または4台の64ビット版サーバーを用意しなければならない。必要な台数はエディションによって異なる。「Standard」エディションの場合は,「Windows Server 2008」と「System Center Essentials」を動かす管理サーバー,「Exchange Server 2007」と「Forefront Security for Exchange」を動かすメッセージング・サーバー,「Microsoft ISA Server」の次版と「Exchange 2007」ゲートウエイによるセキュリティ・サーバーの3台。「Premium」エディションは,さらに「SQL Server 2008」をインストールするデータベース・サーバーもいる。

 筆者はMicrosoftのCentroチームでグループ・プログラム・マネージャを務めるEric Watson氏から「Windows Essential Business Serverは,今まで小規模企業と大企業のどちらにも分類されなかった企業をターゲットとする製品」と聞いた。こうした中堅企業は,一般的に25~250台のパソコンを使っていて,従業員が50~1000人,IT管理者が1~5人といった規模だ。現時点でITインフラ製品/サービスがうまくカバーしていない市場である。

 「現在,中堅企業のIT管理者は仕事に飲み込まれ,働き過ぎだ。作業時間のほとんどを“火消し”と対応業務に追われている。Windows Essential Business Serverによって,先回りして作業することが可能となり,新しい技術を活用できるようになる」(Watson氏)。

 Windows Essential Business Serverのポイントは,複雑になってしまう複数物理サーバーの運用を簡素化するために開発された,総合的なセットアップ機能と集中管理用コンソールである。サーバー・メーカーが構築済みソリューションとして提供するほか,自らハードウエアに導入するIT管理者向けのソフトウエア単体販売も行う。すでに富士通,米Intel,米Hewlett-Packard(HP),米IBMなどが,Windows Essential Business Serverベースの独自ソリューション販売に必要な契約を結んでいる。Microsoftによると,ほかのパートナの情報も数カ月後に発表するという。

 一方「Windows Small Business Server(SBS)」の次版「Cougar」(開発コード名)については,あまり情報がない。Windows Essential Business Serverと同じくWindows Server 2008ベースの製品で,1年以内に出荷される見通しだ。