写真1●ネットレイティングス代表取締役社長の萩原雅之氏
写真1●ネットレイティングス代表取締役社長の萩原雅之氏
写真2●千趣会デジタルメディア部 Webショップ開発チーム次長の中村素清氏
写真2●千趣会デジタルメディア部 Webショップ開発チーム次長の中村素清氏
写真3●ミサワホーム販売企画部 Web企画グループマネージャーの西郷泰信氏
写真3●ミサワホーム販売企画部 Web企画グループマネージャーの西郷泰信氏
写真4●オイシックス代表取締役副社長の吉田卓司氏
写真4●オイシックス代表取締役副社長の吉田卓司氏

 ネットメディアの活用によって、企業はログ解析という消費者の購買行動を知る手がかりを得た。では、この手法を企業はどのように扱い、最善策を見極めるべきか。11月7日に東京・六本木の東京ミッドタウンで開催された「NET Marketing Forum Fall 2007」において、Webサイトのログ解析データを積極的に企業戦略へと反映している、千趣会、ミサワホーム、オイシックスの3社の企画担当者がパネルディスカッションを実施。それぞれのデータ分析手法を紹介しながら、企業サイトを最適化し、より売り上げを向上するための施策について議論を深めた。

 「測定から改善へ--データ分析が導くネットマーケティング最適解」と題したパネルディスカッションでは、インターネット利用者動向調査などを手がけるネットレイティングス 代表取締役社長の萩原雅之氏(写真1)がモデレータを務めた。また、千趣会 デジタルメディア部 Webショップ開発チーム次長の中村素清氏(写真2)、ミサワホーム 販売企画部 Web企画グループマネージャーの西郷泰信氏(写真3)、オイシックス 代表取締役副社長 吉田卓司氏(写真4)がパネリストとして参加した。

 先ずネットレイティングスの萩原氏は、千趣会の中村氏に向けて「紙のカタログによる通販と、ネットメディアによる通販とでは、データ分析に違いがあるか」と質問を投げかけた。これに対して千趣会の中村氏は、「顧客データや商品データに変化はないが、ウェブのログ解析ができるようになって顧客の購買行動を非常に分析しやすくなった」と述べた。

 ミサワホームの西郷氏は自社の取り組みを説明する中で、「あくまで店舗や営業マンの活動が中心であって、ネットメディアが主体の企業ではない場合、クリエイティブやプロモーションを優先するよりも先ず、指標の設計と運用こそが重要。指標から読み取った課題に対して攻めの姿勢で施策を打つべき」との考えを示した。

 また、オイシックスの吉田氏は、自社におけるデータ分析の方法について、「解決したい課題から、分析すべき必要なデータを導き出すことを基本方針としている」と説明。加えて、「定性情報を定量化しながらきめ細かく分析した上で、先ずは顧客満足度を向上し、ひいてはリピート率を高めて売り上げ増につなげている」と自社の取り組みを紹介した。

 次に、ネットレイティングスの萩原氏は3者に対して、「Webサイトからの離脱率を低くして、成約率を高めるために何をすべきか」という論点を提起。これを受けてミサワホームの西郷氏は、「カタログ請求などのタイミングで顧客の情報を取得する際には、なるべく記載項目を最小限に抑えることが大切だ」とした。

 オイシックスの吉田氏は、「記載項目の枠を広げるだけでも、コンバージョンが上がる。さらに、購買客一人ひとりの購買行動を観測することも必要。優良顧客の購買傾向に改善策のヒントが隠れていることがある」と述べた。

 これに続いて千趣会の中村氏は成約率を挙げる秘訣として、「キーワード広告に合わせた商品ブランドの専用ページを設けること」を挙げた。「検索キーワードに関連する目的の商品やブランドが見当たらなかった場合、せっかくサイトへアクセスしてくれた顧客もすぐ離れてしまう。これを回避するために専用ページを設ければ、売り上げは2,3倍どころではなく、桁が変わるほど向上する」と、経験に基づく有効な対策を明かした。

特集●NET Marketing Forumに見るマーケティング・イノベーション