写真●みずほコーポレート銀行産業調査部情報チームの野田聡明調査役
写真●みずほコーポレート銀行産業調査部情報チームの野田聡明調査役

 2007年8月、ネット上の3次元(3D)仮想世界の代表格である「Second Life」の利用者数が1000万人を突破した。しかし、2007年前半には毎月80~100万人のペースだった利用者増加数も、最近では30万人台にまで落ちている。11月7日に東京で開催された「3Dインターネット・カンファレンス」の基調講演で、みずほコーポレート銀行産業調査部情報通信チームの野田聡明調査役が、踊り場に入った3次元仮想世界の課題をまとめた。

 野田氏が所属するみずほコーポレート銀行産業調査部が仮想世界の本格的な調査を開始したのは、2007年2月のこと。Second Life進出企業や、進出企業サポート事業者、広告代理店、大学研究機関などに調査を行い、5月には「セカンドライフにみる仮想世界・仮想経済の可能性-Web 2.0に続くインターネットの新たな進化-」というレポートを発行している。

 今回、「3Dインターネット・カンファレンス」で基調講演をするに当たって、進出企業やサポート事業者、広告代理店などの再度リサーチを行い、前回の調査から半年経った現在の3D仮想世界の課題を探ったという。

 野田氏はまず、2007年夏にかけて、日本企業のSecond Life参入が相次いだことをまとめた。三越やオリックス不動産、パルコシティー、日産自動車、東芝、みずほ銀行など、業種を問わず様々な企業がSecond Lifeに参入し、「企業がSecond Life内に施設を設けた」ということ自体が新聞やテレビで取り上げられた。そのため「数千万円の初期投資はかかったが、効果はあったと語る企業が多い」とまとめる。

 しかし、日本企業よりも早くからSecond Lifeへ参入していた米国企業の中には、2007年夏で「Second Lifeにおける当初の目標を達成した」としてSecond Life内店舗を閉鎖するようなケースも現れている(米国のファッション企業American Apparelなど)。このような状況を踏まえて野田氏は「パブリシティ効果よりも、より本質的な3D仮想世界の効果や、2次元の仮想世界とどう違うのかについて議論する段階に入った」と指摘する。