来日した米Microsoft CEOのスティーブ・バルマー氏
来日した米Microsoft CEOのスティーブ・バルマー氏
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 マイクロソフトは11月8日,統合Webサービス「Windows Live」を正式にリリースした。来日中の米Microsoft CEOのスティーブ・バルマー氏は同日の記者会見で「Windows Liveは,毎日,毎月,毎年進化していくプラットフォームだ」と強調した。なお同日より,Windows LiveのアカウントIDが従来の「@hotmail.com」から「@windowslive.jp」に変更されている。

 「Windows Live」は,同社の「ソフトウエア+サービス」戦略の基幹となるサービスである。「Windows Liveメール」やワープロ「Windows Live Writer」といったブラウザ・ベースのアプリケーションだけでなく,画像管理アプリケーションとオンライン写真ギャラリを組み合わせた「Windows Liveフォトギャラリー」のようなデスクトップ・アプリケーションも組み合わせて提供する。また,NTTコミュニケーションズと提携したIP電話サービス「Windows Live Call」も提供することなどを明らかにしている。

 バルマー氏は記者会見で,ネットワーク上のサービスが,これからのコンピューティングの主流になると強調。「日本は家庭だけでなく,(携帯機器が入った)ポケットまでブロードバンド化しようとしている。まもなく,ホーム・メディアはすべてデジタルになり,新聞やテレビを含むあらゆるコンテンツが,IPネットワークで配信されるようになるだろう。そうなると,ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のようなサービスがますます重要になる。既にXbox 360はオンライン対戦機能を盛り込むことで『ソーシャル・ゲーミング』へと進化しているが,これからはテレビもSNSやインスタント・メッセンジャーと融合していくだろう。例えば,私が好きなゴルフの中継を見ていて,タイガー・ウッズがすごいパットを決めたとする。そのとき私が『ビル,今のタイガーのパットを見たか?』とテレビに語りかければ,私のソーシャル・ネットワーク・サービスにある情報から『ビル』がビル・ゲイツであることを判断し,ビル・ゲイツに先ほどの言葉が音声のインスタント・メッセージとして届けられるのだ」(バルマー氏)。

 その上でバルマー氏は,同社のソフトウエア+サービスが,「デスクトップ・アプリケーションとエンタープライズ・アプリケーション,Webアプリケーション,携帯デバイスの良いところを融合したものだ」と語る。「現在も多くの人が,リッチなユーザー・インターフェースを備えたパソコンを愛している。その一方で,情報を保護するエンタープライズ・クラスのセキュリティも求めているし,Webアプリケーションの『クリック1つですべてが手に入る』という利便性や,携帯デバイスのどこでも使える要素を好んでいる。これらをすべて融合させたのが,Windows Liveになる」と語った。

「マイクロソフトは本当のソフト売りになれ」とNTT東日本

 記者会見の最後には,NTT東日本の古賀哲夫副社長が,マイクロソフトが展開するネットワーク戦略に対して,強烈な「エール」を送った。古賀副社長は「(マイクロソフトが今まで行ってきた)ソフトウエアをCD-ROMのようなモノに入れて,実際にはモノを売ってきたこと自体がおかしい」と主張。その上で「本来は,OSも含めた全てのソフトウエアは月額500円とかそういう値段でお客さんに販売され,CD-ROMの中身だけが光ネットワーク経由で提供されるのが理想的だ。お客さんは,Windows 95がXPやVistaになろうと,何も意識せずに使えるようにならなければならない。しかし現状は,マイクロソフトですらこの有様だ。『モノ売り』ではなく本当の『ソフト売り』になる必要があるだろう」と断言した。