米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(写真:小久保 松直、以下同)
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写真管理ツールのフォトギャラリーで作成したパノラマ写真をブログに貼り付けたところ
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Windows Mobile 6上でアドレス帳などのデータを連携できる
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 マイクロソフトはOSを核としたソフトウエアを販売する従来の事業戦略から、広告で売り上げを立てる無料Webサービスの拡大へとかじを切る。Webサービス「Windows Live」の発表会で2007年11月8日、スティーブ・バルマーCEOが方針を示した。これまでベータ版として提供していたWindows Liveを、正式サービスとして同日に公開。インターネット経由で利用するメール、写真管理、セキュリティ、携帯機器とのデータ連携など各種の無料サービスを提供し、機能の強化を目指す。

 バルマーCEOは、4年後の2011年にはインターネット広告費が2倍に成長するという調査結果の例を挙げ、Webサービス市場は急激に拡大していると説明。SNSやブログなどコミュニティーの利用が拡大するだけでなく「新聞やテレビといったすべてのメディアがIPネットワークで配信されるだろう」と見通しを示した。

 こうした背景から「マイクロソフトはソフトウエア+サービスという次の段階に移行する」と明言した。従来の基幹事業だったパソコン用OSや企業向けシステムだけではなく、Webサービスやモバイル機器への対応を強化する。そのための施策がWindows Liveの正式サービス開始なのだという。バルマーCEOは「Windows Liveは、デスクトップOSのWindowsを遠くに追いやるものではない。むしろWindowsの機能をWebやモバイルの分野に拡大し、革命を引き起こすものだ」と、OSと競合するものではないことを強調した。

 Windows Liveは複数のサービスで構成される。写真管理の「Windows Live フォトギャラリー」、メッセンジャーソフトの「同Messenger 2008」、メールソフトの「同メール」、ブログサービスの「同スペース」、コミュニケーションツールのブログ編集ソフト「同Writer」などだ。「Windows Liveおすすめパック」とうインストール用ソフトも用意した。メールサービスでは従来の「@hotmail.co.jp」のほか「@live.jp」というアドレスも登録できるようになった。

 携帯機器向けの機能も「Windows Live for Windows Mobile」として提供する。Windows Mobile 6に対応した携帯機器でメッセンジャーやメールソフト、アドレス帳などのデータ連携ができる。NTTコミュニケーションズと提携し、固定電話、携帯電話、国際電話へのVoIP機能を提供することも公表した。

 米グーグルが発表した携帯電話向けのOS「Android」については「Windows Mobileには150以上の対応機器があり、今年は2000万台も出荷している。対応ソフトも多い。グーグルはまだプレスリリースを出しただけにすぎない。我々の世界に歓迎するよ」とバルマーCEOは一蹴。先行しているWindows Mobileの優位性に自信を見せた。