写真●アイレップSEM総合研究所 所長の渡辺隆広氏
写真●アイレップSEM総合研究所 所長の渡辺隆広氏

 アイレップ SEM総合研究所所長の渡辺隆広氏は「NET Marketing Forum Fall 2007」の会場で、「2008年のSEM業界を予測、サーチマーケティングの新展開」と題した講演を行った。動画検索におけるSEO(検索エンジン最適化)対策、グーグルのサイト内検索分析、ヤフーの突然の順位変動、有料リンク問題など最近のSEO/SEM(検索エンジンマーケティング)に関する動向を一挙に紹介、その上で2008年から先のSEMがどう進むか予測を述べた。

 まず、「最近動画検索におけるSEO対策について質問が多くなった」と前置きをしたうえで、現在の動画検索において過度なSEO対策は不要という考えを示した。理由としてまず、現状の動画検索技術の精度の低さを挙げた。

 渡辺氏によれば現在の動画検索技術は10年前のWeb検索と同じレベルで、動画に付けられているタイトルやタグ、説明文を検索しているだけと指摘。米ブリンクスのように動画の音声を自動認識して検索する全文検索型サービスもあるものの、ある特定の人物が話をしている動画しか音声認識技術が対応できず、検索対象となる認識可能な動画が限られるという弱点があるという。

 そもそも、現在の動画検索はあらかじめ固有名詞が分かっていたうえで検索する人はいても、何気なくキーワードを入力する人は少ない。つまり検索行為がそこまで一般化していないと解説した。

 次に10月31日にグーグルがGoogle Analyticsに追加したサイト内検索分析について触れた。これによってサイト内検索を実行したときのページやサイト内検索に入力したキーワード、キーワードの連続性、最終的にどこのページに行ったかが分かるようになるという。現在は日本語版も出ておらずベータ版の状態だが、「グーグルはいずれ Web検索からサイト内検索までの一連の行動を追うようになるのでは」と指摘した。

 ヤフーの検索結果の突然の順位変動についても触れた。渡辺氏によれば、8月31日と9月30日、10月20日などに順位が突然変わった人が会場内にも必ずいるはずだと指摘。ビッグキーワード(検索回数の多いキーワード)に属する一部のキーワードに関して発生しているといい、あるキーワードにおける順位変動を繰り返しているグラフを紹介した。

 「当社でもガイドラインに違反しているのか検討したが、ヤフー側の検索アルゴリズムの調整かもしれない」という。いまのヤフーに限っては順位が落ちたからといって、SEO対策においてすぐに右往左往するのではなく、しばらく放置しておいたほうがよいとアドバイスした。

 こうした検索アルゴリズムの変更はこれまでもあったという。例えば過去、入力順位によって検索結果が変わっていた例だ。以前は「サッカー」「静岡」の順番で入力するとサッカーのニューストップのページが上位に出て、「静岡」「サッカー」の順番で入力すると静岡の地元のサッカーチームのページが出るといった具合に、検索アルゴリズムが異なったという。現在ではキーワードの入力する順序で検索結果は変わらない。