写真1●司会のネット通販評論家の村山らむね氏
写真1●司会のネット通販評論家の村山らむね氏
写真2●左からナチュラム営業企画部長の山内智和氏、ハンコヤドットコム代表取締役社長の藤田優氏、リトルムーン取締役副社長の文 美月氏
写真2●左からナチュラム営業企画部長の山内智和氏、ハンコヤドットコム代表取締役社長の藤田優氏、リトルムーン取締役副社長の文 美月氏

 11月7日の「NET Marketing Forum 2007 Fall」では、「伸びるECサイトはここが違う 商人の町、大阪3社の集客・販促戦略」と題したパネルディスカッションを開催した。ネット通販評論家の村山らむね氏の司会で、アウトドア用品のナチュラム、印鑑のハンコヤドットコム、ヘアアクセサリーのリトルムーンの個性派ECサイト3社が、それぞれの集客・販促戦略や、成長を続けるための組織・運営体制などを議論した。

 まず、各社が注力する集客・販促策を披露した。ナチュラムは独自に提供するブログサービスを紹介。ブログサービス「blog@naturum」では5500のブログが開設され、アウトドアをテーマにした記事が多数書かれているという。ナチュラム営業企画部長の山内智和氏は、「(釣り具など)うちの商材はブログでうんちくを語り、アフィリエイトでナチュラムを紹介する流れができている」と説明。ブログだけで訪問者数が月間160万人、ページビューが(PV)2100万となり、ナチュラムのECサイトの250万人、2100万PVに近いメディア力を持っているという。

 ハンコヤドットコムの藤田優社長は、「印鑑はリピート買いが見込めない目的買い商材で、新規顧客の獲得が重要」と、ナチュラムとは商材が違うため、販促策も異なることを説明。SEO(検索エンジン最適化)と検索連動型広告を受け持つ4人でチームを作り、検索連動型広告の出稿に月500万から 1000万円程度かけて新規顧客を獲得する社内体制を明かした。

 司会の村山氏は、「印鑑というニッチな商材を『キレイはこん』『チタン印鑑』などさらに8分野にわけて専門店展開しているのが素晴らしい」と指摘。藤田社長は、「ネット通販では、コンテンツを絞り専門性を高めることで購買意欲を高められる」とその背景を解説したうえで、副次的にはSEO効果を生んでいる現状も説明した。

 リトルムーン取締役副社長の文 美月氏は、「1年間で広告費は1000万円程度」と少なく、集客は「お客さんのクチコミに頼っている」という。顧客の紹介で雑誌から取材されたり、自社サイトに載せた動画がクチコミで話題を呼んだりする現状を説明した。

 動画では、「夜会巻き」というヘアアレンジのノウハウを解説したコンテンツを紹介した。ヘアアクセサリーは特定の商品を買いたいというより、「結婚式のヘアスタイルをどうしよう」「簡単に髪をまとめたい」という悩みから需要が生まれているという。その需要を獲得するために、ノウハウを解説したコンテンツを充実させている。そして、利用者のブラウザーのお気に入りに登録してもらうことが、集客の近道になるとみている。

 後半では、ECサイトが成長を続けるための組織のあり方を議論。まず、ナチュラムが人事評価制度を絶対評価から相対評価に切り替えたことで公平感が高まっている現状を紹介した。ハンコヤドットコムは朝礼の後に開く会「グッドアンドニュー」を説明した。5~6人で集まり前日にあったいいことなどを報告しあう会だ。

 リトルムーンは毎朝、空き缶に箸を入れてくじ引きをして、その日の掃除分担を決めるという。「大吉」が出ると社長から缶ジュースをおごってもらって朝礼に出席できる。2社ともに、こうした取り組みは、急増する社員のコミュニケーション不足を解消する効果などがあるという。急成長するECサイトの悩みの一端を明らかにした形となった。

特集●NET Marketing Forumに見るマーケティング・イノベーション