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 「Linuxにつながるという安心感で、Windowsはもっと企業に入っていく」。マイクロソフトの加治佐俊一 業務執行役員CTOは、ターボリナックスとの事業提携について記者向けに説明する場でこう述べた(写真)。米マイクロソフトとLinuxベンダーとの協力は、昨年11月の米ノベルとの提携を皮切りに、ターボリナックスで4社目となる。加治佐CTOは、Linuxベンダーとの協力はWindowsのシェアを落とすことになるとの見方を否定した。

 提携内容において、マイクロソフトが強調するのは相互運用性だ。ターボリナックスが提供するLinuxディストリビューションのTurbolinuxに、Windows環境のディレクトリ・サービスであるActiveDirectoryを搭載する。これにより、WindowsクライアントからTurbolinuxサーバーに、TurbolinuxクライアントからWindowsサーバーに、TurbolinuxサーバーとWindowsサーバーとを接続できるようになる。ターボリナックスは、2008年度内をメドに、そのためのソフトを提供する。

 相互運用性の必要性について、ターボリナックスの矢野広一代表取締役社長も「WindowsとLinuxの混在環境が進む中、ユーザーに求められている」と説明。Linuxベンダーとしては、既にWindowsが大量に入っている企業へのLinux導入を後押しする道具になり得る。

 ただ、これがWindows導入を推し進めるかどうかは疑問だ。マイクロソフトがWindowsとLinuxの相互運用性を強化する動きに対し、あるLinuxベンダーの社長は以前、「シンクライアントの広まりでデスクトップ環境がWindowsからLinuxに一気に置き換わる可能性がある。そうした状況を防ぎたいのではないか」と見解を述べた。加治佐CTOの「相互運用性があれば、ユーザーは機能を比較して良いほうを選べる」といった発言も、Linux一色となってしまうのを防ぎたいようにも採れた。