ターボリナックスの矢野社長
ターボリナックスの矢野社長
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マイクロソフトの加治佐CTO
マイクロソフトの加治佐CTO
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 マイクロソフトとターボリナックスは2007年11月6日、同年10月末に発表した業務提携に関する説明会を開催した。ターボリナックスの矢野広一社長と、マイクロソフト 業務執行役員の加治佐俊一CTOが、相互運用性の向上や知的財産利用の保証などの提携内容を説明。「WindowsとLinuxの混在環境が増える中で、両者がきちんとつながる、ということはユーザーにとって安心感になる。安心して新しいシステムに乗り換えてもらえる」(加治佐氏)とし、相互運用性の確保が両陣営にとってメリットをもたらすとの考え方を示した。

 相互運用性向上のための具体的な取り組みとして、ターボリナックスがActive Directory環境下での自社製品のシングルサインインを実現するモジュールを開発。マイクロソフトの知的財産公開/ライセンス提供プログラム「相互運用性IPライセンス」の下で開発を進め、2008年半ばにはソースコードではなく実行形式でベータ版を提供する予定だ。

 一方で、ターボリナックスのサーバー製品の購入者に対し、マイクロソフトが保有する知的財産を利用できる権利を保証する。「Linuxの導入が増えるにつれて、特許問題を不安視する意識が薄まっている。“赤信号みんなで渡れば恐くない”的な現象なのだろうが、現実的には特許問題は何一つ解決されていない。我々もきちんと手当てしなければならないと考えている」(矢野社長)。日本が、この分野でアジア全体のリーダーシップを発揮したいと述べた。

Linux版「Windows Live Messenger」の開発も

 デスクトップ分野においては、Office文書のファイル形式変換ツールの開発で協力する。マイクロソフトが「2007 Office system」で採用した「Open XML Format」と、「OpenOffice.org」などが推進しオープンソースで開発が進む「Open Document Format」との変換ツールである。

 ネットサービスでも連携を強化する。まず、ターボリナックスが搭載するブラウザーについては、標準の検索エンジンを「Live Search」に設定して出荷する。「これを協業の入り口として、Windows Liveのサービスをターボリナックスのユーザーにも提供していきたい」(矢野社長)。将来的には、「Windows Live Messenger」のように、ネットサービスを利用するためのデスクトップアプリケーションを共同で開発するといった協業が実現する可能性がある。またターボリナックスの携帯メディアプレーヤー「wizpy」とWindows Liveを連携させ、wizpyで再生する音楽データをWindows Liveが提供するストレージサービスに保存しておく、といったシナリオも考えられるという。