写真 Catalyst 6500を仮想化するためのモジュール
写真 Catalyst 6500を仮想化するためのモジュール
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 シスコは11月6日、スイッチ/ルーターの最上位機「Cisco Catalyst 6500」シリーズにおいて、仮想化機能が搭載できるようになったと発表した。ここでいう仮想化とは冗長化のための2台のスイッチ/ルーターをあたかも1台のように扱えること。これによって、冗長化のためのプロトコルを運用する必要がなくなった。シスコによると、「世界初の取り組み。米国に先駆けて日本で発表した」(ルーティング&スイッチングマーケティング佐々木明夫プロダクトマネージャー)という。

 具体的には、「Virtual Switching System(VSS)」という技術で、2台のCatalyst 6500と2つの回線をあたかも「1台と1回線」として運用できるようにした。2台のCatalyst 6500は同期して稼働する。これによって、機器監視のためのプロトコル「HSRP」や「VRRP」、冗長化プロトコルの「STP」が不要となった。後者はいわゆるスパニング・ツリーである。万が一、一方のCatalyst 6500で障害が発生した際、「従来は切り替えに1.5~3秒かかっていたが、これをゼロにできる」(佐々木プロダクトマネージャー)。

 ユーザーがVSSを導入するには、Catalyst 6500に対して処理エンジン・モジュールの「Supervisor 720」を組み込む必要がある。価格は694万6000円(税抜き)からで、11月から順次提供を開始する。スイッチ/ルーターのレイヤーとしてはL2とL3の両方に対応。最大で1つのネットワーク上に、100のVSS搭載機を運用できる。現在のCatalyst 6500ユーザーは、「システム全体の初期投資に対して、約2割の負担でVSSが利用できるようになる」(佐々木プロダクトマネージャー)という。

 今のところ、Supervisor 720のVSSを導入前提に検証しているユーザーが、米国に4件、日本に2件あるという。シスコは東京・お台場で開催中の展示会で同技術と製品のデモンストレーションをする。