米Motorolaは米国と東京で現地時間11月5日,同社子会社のMIが無線通信機メーカーのバーテックススタンダードに対する株式公開買い付け(TOB)を開始すると発表した。バーテックスの発行済株式の80%取得を目指す。80%取得した場合の買収金額は約123億円となる。バーテックスは同日,TOBへの賛同を表明した。

 TOB価格は普通株1株当たり2214円。バーテックス株式の11月2日終値1600円に対し38.4%,過去3カ月間の平均終値1573円に対し40.8%のプレミアムを上乗せした金額となる。買収手続きは2008年1月初めに完了する見込み。

 バーテックスは,アマチュア無線機や航空/船舶用無線機,データ伝送機器などを手がける企業。「YAESU」や「STANDARD」,「Vertex Standard」といったブランドで製品を販売している。1956年にゼネラルテレビサービスとして創業し,2000年に現在の社名に変わった。2007年3月期の売上高は約219億8300万円。

 MotorolaはこのTOBでバーテックス株式の80%を買い付ける。残りの20%は,バーテックス代表取締役社長である長谷川淳氏の運営する東幸技研が取得する。両社は合弁会社としてバーテックスを共同経営し,既存ブランドでの製品開発/販売を続けるほか,Motorolaブランド製品の開発にも取り組む。社名は変更せず,本社も東京に置く。

 Motorola傘下に入ることについて,長谷川氏は「Motorolaが世界展開している販売チャネルを利用できるようになり,バーテックス製品の成長を推進する大きな機会となる。コスト削減効果も期待でき,Motorolaの持つ世界規模の体制やリソースからメリットが得られる」と述べている。

 またMotorolaは英国時間11月5日,欧州/中東/アフリカ(EMEA)地域で家庭内などに設置可能な超小型の携帯電話基地局“フェムトセル”の試験運用を開始したと発表した(関連記事:手のひらに載る「超小型携帯電話基地局」,フェムトセルにまつわる素朴な疑問に答えよう)。

 試験運用しているフェムトセルは第3世代(3G)携帯電話向け。Motorolaは「欧州の主要キャリア1社と共同で試験中」と説明しているが,具体的なキャリア名は公表していない。

 Motorolaが引用した英Ovumの予測によると,西欧におけるフェムトセル導入台数は2010年で1200万台,2011年には1700万台に達するという。

[発表資料(バーテックスに対するTOB)]
[発表資料(フェムトセルの試験運用)]