Linuxを手がけるフランスMandriva最高経営責任者(CEO)のFrancois Bancilhon氏は11月第1週,大きなソフトウエア契約を結べる直前までこぎ着けたのに,突如現れた米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏に奪われたと激怒している(MSバルマー氏に質問状--LinuxベンダーMandriva,契約獲得戦術を非難)。

 Mandrivaは11月1日(現地時間),ナイジェリアで導入されるパソコンに1万7000本のLinuxを供給する契約について,締結の見通しが付いたと発表した。ところがその1日後,ナイジェリア政府からMandrivaに「発注したソフトウエアの代金は支払うが,パソコンのシステムを消去し,Mandriva LinuxをWindowsに置き換える」という通知が届いたのだ。

 Bancilhon氏はMicrosoftの「汚い」戦略を非難し,自社のブログでこのような展開となった背景に公然と疑問を投げかけた。「大したもんだなSteve。どうやってナイジェリア側の担当者を説得したんだ。わたしはお見通しだし,世間も分かっている。君のやったことを何て呼ぶか教えてやろう。いろいろな呼び方はあるが,君は知っているはずだ。君は金持ちだし,権力もある。わたしとは倫理観も違うだろう。ただし,わたしは今も,努力と優れた技術,そして倫理が勝つと信じている」(Bancilhon氏のブログ記事)。

 だが,それがどうしたというのだろう。Microsoftも契約獲得競争に加われるはずだ。それとも,ビジネスは急に「最も優れた道徳を持つ企業が契約を獲得する」倫理競争に変わったのか。つまり,今回の件にある程度「不当」な面はあると思う。しかし,これはビジネスであって,子供が学校で小競り合いしているわけではない。そろそろMandrivaはどっしり構えて黙った方がよい。