写真●中華テレコムが発表したNGNの概要
写真●中華テレコムが発表したNGNの概要
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 アジアの通信事業者などが集まり,NGN(次世代ネットワーク)戦略などを発表するカンファレンス「NGN Summit2007」(シンガポール)が11月1日,最終日を迎えた。

 カンファレンスの最後に登場したのは台湾の中華テレコム。同社の電信研究所で主任を務める鄭石源氏が,NGNへの移行計画を説明した。

 鄭主任によると中華テレコムは,MPLS(multiprotocol label switching)ベースのIPバックボーンを構築済みで,既存の固定電話網と並存させて,IP電話サービスやADSLサービスなどを提供しているという。このIPバックボーンに今後,「IMS」(IP Multimedia Sub-system)のアーキテクチャを導入し,本格的なNGNに変えていく計画だ(写真)。

 鄭主任は,「今,IMS導入のベンダーを選定し,ノキアとシーメンスをパートナーにすることにした。2007年中にもIMSベースのIPネットワークに移行し始めるだろう」と述べた。ノキアは中華テレコムの移動通信網の構築ベンダーで,一方のシーメンスは固定通信網の構築ベンダーだったという。「IMSを導入し,NGNで移動と固定の網を融合させるには,両社をパートナーにすることが最適と考えた」(鄭主任)。

 中華テレコムはNGNを使い,既存の固定電話サービスや法人向けのIP-VPN(仮想閉域網),高速ネット接続,映像配信サービス,FMC(fixed mobile convergence)サービスなどを提供する予定だという。NGNを本格展開していくうえでの課題として,(1)IPネットワークで多様なサービスを提供するための課金/相互接続モデルの作成,(2)ネットワークの信頼性やサービスの可用性の維持--などを挙げた。

 講演後の質疑応答では会場から,台湾における通信関連の規制状況,およびその規制がNGNサービスに与える影響について質問が飛んだ。