写真●米ソナス・ネットワークスによるワークショップの様子
写真●米ソナス・ネットワークスによるワークショップの様子
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 10月30日~11月1日にシンガポールで開催された「NGN Summit2007」。アジアの通信事業者などの講演が終わったあと,同じ会場内の一室では,ワークショップが開かれた。その一つが,ソフトスイッチ大手の米ソナス・ネットワークスが講師を務めた「Effectively Calculating Total Costs for Migration into a NGN System」というテーマの勉強会だ。

 このワークショップの趣旨は,既存のネットワークからNGN(次世代ネットワーク)へ移行する際のコスト計算の考え方などを,グループワークや議論を通じて実践的に学ぶというもの。講師はソナスのマイケル・ルービン副社長が担当した(写真)。

 驚きだったのは,アラブ首長国連邦(UAE)やオマーンといった中近東の通信事業者の関係者がワークショップ参加者の大半を占めたこと。出席者たちは,「交換機網からIPベースのNGNへ移行すると,投資コストや運用コストが下がるのはなぜなのか」など,ソナスのルービン副社長の“授業”を熱心に聞き入っていた。

 中東でNGNが熱いのは,UAEやオマーンなどの中近東エリアでも実際に,通信事業者がNGNの構築を進めようとしているから。今回のカンファレンスで発表されたNTTや韓国のKT,台湾の中華テレコムなど,アジアの通信事業者によるNGN計画の情報を収集し,自国のNGN構築に生かそうと考えているようである。

 ワークショップに参加したオマーン・モバイル・テレコミュニケーション・カンパニーLLC(オマーン・モバイル)のカシム・アフメド・サリム・アルラワリィ スイッチング・チーム・リーダーは,「オマーン・モバイルは2008年の第3四半期にも,NGNへ移行し始めたいと思っている。IMS(IP Multimedia Sub-system )のアーキテクチャを採用する本格的なものだ」と述べている。

 高騰する原油価格がもたらす「オイル・マネー」は,世界の株式市場などへ流れ込むだけでなく,中近東諸国のNGN構築にも注がれるようだ。