写真●日立製作所の中村豊明執行役専務
写真●日立製作所の中村豊明執行役専務
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 日立製作所は10月31日、2008年3月期の中間決算を発表した。連結売上高は前年同期比11%増の5兆2804億円。営業利益は、同513%増の1216億円と大幅な増益となった。前年同期に計上した、原子力発電所のタービン損傷にかかる補修費用の影響がなくなったことなどが寄与した。

 情報通信システム事業に限ると、売上高は同9%増の1兆2545億円に対し、営業利益は同10%減の124億円にとどまった。

 このうち、ソフトウエアおよびサービス分野の売上高は同11%増の5948億円。営業利益も377億円と、前年同期の278億円から36%増加した。システム・インテグレーション事業が好調で、「金融機関を中心に大口システムを受注できた。省エネルギー型のデータセンターによるアウトソーシング事業も好調に推移している」(中村豊明執行役専務、写真)。2008年3月期の通期の決算では、ソフト/サービス分野で900億円の営業利益を確保できる見通しだ。

 ハードウエア分野は、ストレージ関連が好調だったことから、売上高は同8%増の6597億円だった。一方、営業損失は253億円の赤字と、前年同期の140億円の赤字と比べて113億円も赤字が拡大した。日立グローバルストレージテクノロジーズが事業を担っているハードディスク・ドライブ事業が、依然として赤字体質を脱せずにいるためだ。中村専務は、「黒字転換を実現するため、メキシコ工場を閉鎖し生産・開発拠点を最適化したり、経営改革を推し進めたりしている」と、ハードディスク・ドライブ事業の売却を暗に否定した。