インテルは10月31日,大型サーバー向けプロセサItaniumの新型である「デュアルコア Itanium 9100番台」を発表した。開発コード名としてMontvale(モントベール)と呼ばれていた製品である。

 9100番台の特徴は,信頼性を向上させるための機能「コアレベル・ロックステップ」を搭載したこと。搭載する2つのコアの処理内容を見比べて,計算結果に誤りが生じていないかどうかを検証する。例えばデータ転送中に何らかの外的要因で「ビット誤り」などが生じたケースは,この機能で検出できるという。「エラーを確実に検出するこの機能で,アプリケーションの信頼性をより向上できる」(インテルの及川芳雄 技術本部長)。

 米インテルのカーク・スカウゲン デジタル・エンタープライズ事業本部副社長は,「メインフレーム・レベルの性能と信頼性を持つItaniumをさらに強化した」とアピールする。「最近,4プロセサから16プロセサを搭載する大型サーバーの需要が高まっている。サーバー統合のニーズの盛り上がりや,仮想化技術の進展が背景にある。Itaniumシリーズはこの需要に対応できる」(スカウゲン氏)。

 「グリーンIT」の動きに対応するため、「デマンド・ベース・スイッチング」機能を新たに実装した。プロセサの利用率に合わせて,消費電力を動的に調整するものだ。及川本部長は「これにより電力と冷却コストを削減できる」と語る。

 以前のバージョンである「9000番台」に比べて処理性能も向上させた。インテルはベンチマークの結果を挙げ,流体力学の演算処理について19%向上,浮動小数点演算のスピードについては11%速くなったとしている。

 NEC、日本SGI,日本ユニシス,日本ヒューレット・パッカード(日本HP),日立製作所,富士通が9100番台搭載のサーバー機を順次投入する予定だ。東京証券取引所が9100番台搭載の富士通製大型サーバー「PRIMEQUEST」を採用する意向という。

 またインテルは9100番台の次期版である「Tukwila(タキウィラ,開発コード名)」の開発進捗を明かし,記者発表会会場で開発中のウエハを見せた。現在の2コアを4コア(クアッドコア)に増やし、「Montvaleの2倍の処理性能を確保する」(スカウゲン氏)。加えてプロセサ内にメモリー・コントローラを搭載し,処理の効率化を図る。2008年末に発表の予定という。

 インテルは併せて,Itaniumシリーズの普及・利用を促すサード・パーティ製ソフトを紹介した。米トランジティブ製の「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Itanium」である。Solaris OSおよびSPARCプロセサ用にコンパイルされたアプリケーションを,Itanium上でそのまま動作させる仮想化ソフトの一種だ。日本ではネットワールドが販売する。OSとしてはLinuxを使用する。「ユーザーに負担をかけることなく,Itaniumプロセサ上でSolarisのアプリケーションを動作させられる」(スカウゲン氏)。QuickTransitは10月31日から販売開始した(関連記事)。