再利用処理前の不用ウエーハ(男性が持っている円盤)と太陽電池パネル(女性が持っている四角い板)
再利用処理前の不用ウエーハ(男性が持っている円盤)と太陽電池パネル(女性が持っている四角い板)
[画像のクリックで拡大表示]

 米IBMは米国時間10月30日,バーモント州バーリントンの半導体工場で,不用になったシリコン(Si)ウエーハを太陽電池パネルなどに再利用する取り組みを開始したと発表した(写真)。これにより,年間300万枚という廃棄処分されるSiウエーハの数を減らすことができる。

 不用ウエーハの再利用は,ウエーハ表面から半導体回路を効率よく除去する処理の開発によって可能となった。企業機密である半導体回路を取り除いたウエーハは,試験用ウエーハとして半導体製造工程を調整する際に社内で使えるほか,太陽電池パネル用材料として販売できる。不用になった試験用ウエーハを太陽電池パネル用に提供することも可能である。

 IBMが引用した米国半導体工業会(SIA)の調査結果によると,全世界で毎日25万枚のウエーハが半導体製造に使われているという。IBMはこのうち最大3.3%が製造失敗などで廃棄処分になり,1年間だと約300万枚に達すると見込む。ウエーハを再利用すれば,廃棄するウエーハの量を減らせるうえ,太陽電池パネル用Si需要の増加にも対応できる。

 ウエーハを再利用すると,消費エネルギー削減にもつながる。IBMでは,試験用ウエーハ製造に必要なエネルギーを従来に比べ最大90%,太陽電池パネル製造に必要なエネルギーを30~90%節約できるとしている。

 IBMは,ニューヨーク州イーストフィッシュキルの半導体工場にもこのウエーハ再利用処理を導入する。ほかの半導体関連メーカーにも処理方法を紹介していく。

[発表資料へ]