千葉大学理学部先進科学プログラム 上野康平氏
千葉大学理学部先進科学プログラム 上野康平氏
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10月30日に行われたスーパークリエータ認定証授与式で認定証を受ける蓑輪太郎氏
10月30日に行われたスーパークリエータ認定証授与式で認定証を受ける蓑輪太郎氏
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 「恐るべき未成年が現れた。17歳(未踏ソフトウェア創造事業当時)というだけでなく,そのしっかりした洞察力と技術力は,ソフトイーサの登大遊くんを彷彿とさせる」と,未踏ソフトウェア創造事業プログラム・マネジャ 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 竹内郁雄氏は,上野康平氏を絶賛する。

 上野氏は2006年度下期のIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)未踏ソフトウェア創造事業の未踏ユースに採択され,このほど,その成果で天才プログラマー/スーパークリエータとして認定された。18歳の天才プログラマは未踏ソフト最年少である。

 上野氏の開発テーマは「物理ベースのレンダリング(3次元CGの生成)を柔軟性を持って行えるアーキテクチャの開発」である。「物理レンダラと非物理レンダラを統合するだけでなく,統合が逆にもたらすいくつかの新しい問題 (シェーダに関わる問題) も一挙に『統合的』に解決してしまった。さらにMental Images社のMental Millとほぼ同等のものを,たった一人で同時に開発した」と竹内氏は驚く。「レンダラというシステム全体を見通し,どこに無駄があるかを知りつくしている」(竹内氏)。

 上野氏がレンダラを知り尽くしている理由は,彼が中学生からレンダラを開発していたからだ。今回のレンダラは上野氏が開発した3つめのレンダラになるという。プログラミング自体「小学校に入る前からBASICをいじっていた」(上野氏)。現在,千葉大学理学部先進科学プログラムに在籍しているが,飛び級による進学だ。

 上野氏は高校生になる前の6年間ほど米国にいたこともあり「英語力もある。ぜひ国際展開してほしい」と竹内氏は期待をかける。

 2006年度下期は上野氏のほか,SELinuxを利用してデータベースのセキュリティを高めるSE-PostgreSQLを開発した海外浩平氏や,2ちゃんねるから生まれたオープンソースOSとして知られるMonaOSの開発者 蓑輪太郎氏ら12名が天才プログラマー/スーパークリエータとして認定された(関連記事)。「上野くんだけでなく,今期の未踏ソフトは優秀な開発者がそろった当たり年だった」と竹内氏は目尻を下げる。

◎関連リンク
上野康平氏が開発しオープンソース・ソフトウエアとして公開しているレンダラ「nytr」

【変更履歴】nytrへのリンクを追加しました[2007.10.31]