写真●NTT持ち株会社の村上龍郎NTTサービスインテグレーション基盤研究所 主席研究員
写真●NTT持ち株会社の村上龍郎NTTサービスインテグレーション基盤研究所 主席研究員
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 アジアの通信事業者などが集まり,NGN(次世代ネットワーク)についての戦略や取り組みなどを発表するカンファレンス「NGN Summit2007」が10月30日,シンガポールで開幕した。

 初日の講演にはNTT持ち株会社の村上龍郎NTTサービスインテグレーション基盤研究所 主席研究員が登壇。「NGNは社会インフラとしての公共の使命を帯びつつ,通信事業者の新ビジネスの基盤にもなる。(標準化を円滑に進めるためにも)グローバルなコンセンサスが必要で,特に,アジア諸国でNGNのビジョンを共有したい」と会場に呼びかけた。

 村上主席研究員は講演の中で,NGNの標準化動向やNGNのアーキテクチャなどを紹介。さらに,NTT東西地域会社のFTTHサービスは既に約700万ユーザーに達しているという日本のブロードバンド市場の状況に触れ,NGNトライアルなど,NTTによるNGNへの取り組みを説明した。

 NTTがNGNの構築を進めている理由として,「世界中の通信事業者が抱える共通の課題を解決するため」と村上主席研究員は説明。共通の課題とは,(1)IP化による収益構造の変化,(2)今後の市場の拡大,(3)ネットワークのコスト削減--である。

 講演後の質疑応答では,「NTTはレガシーの交換機網からNGNへどうやって移行するのか」「NTTが使っている光アクセスの分岐技術は何か」「NTTのNGNに規制がかけられることで事業への影響はあるのか」などの質問が会場から投げかけられた。

 NGN Summit2007は10月30日~11月1日までの3日間にわたって開かれる。講演にはNTTのほか,韓国のKT,香港のPCCW,フィリピンやスリランカの通信事業者が主に登壇する。通信事業者以外に,日本の総務省や香港のOFTA(Office of the Telecommunications Authority )といった通信関連の監督官庁,NECや米ソナス・ネットワークスなどのメーカーも講演を行う予定。