写真●シティ・テレコム香港が採用した光アクセスの技術の概要
写真●シティ・テレコム香港が採用した光アクセスの技術の概要
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 シンガポールで10月30日から始まった「NGN Summit 2007」で,香港のブロードバンド事業者であるシティ・テレコム香港のリッキー・ウォン共同創業者兼会長が,FTTHを既に提供し始めていることを明らかにした。「今はメタル線より光ファイバの投資の方がコスト高だ。しかし,光ファイバの方が寿命が長いのでトータルのコストは安くなる。メタル線の更改は光ファイバで行う」(ウォン会長)。

 シティ・テレコム香港は,香港の既存通信事業者だったPCCWへの競合事業者として1992年に設立された通信会社。PCCWの設備を一切借りることなく,130万ユーザーへのホームパスを既に構築済み。今後,香港の90%をカバーする200万ユーザーへのホームパスの敷設を公約している。今後の中核サービスとして期待しているのがFTTHサービスだという。

 ウォン会長によると,シティ・テレコム香港がADSLサービスに加え,FTTHサービスの提供に乗り出したのは数カ月前。まだ数百ユーザーしかいないが,今後急速に伸びていくという見通しだという。というのも,「最近は,アップロードのトラフィックが急速に伸びている。ユーザーがコンテンツを投稿するなどの需要が背景にあるようだ。ダウンロードだけでなく,アップロードも広帯域なFTTHの人気が今後出るだろう」(ウォン会長)と見ているからだ。さらに,「高層住宅が多く,人口密度が高い香港は,FTTHを提供するのに効率的」(同氏)だという。

 シティ・テレコム香港は,FTTHサービスを香港で提供するにあたり,「G-PON」と呼ばれる光アクセスの分岐技術を採用した(写真)。講演後,会場からは「FTTHを展開しようと考えた経緯」など,アクセスの光化に関する質問が多く出た。

 NGN Summit 2007は,アジアの通信事業者などが集まり,NGN(次世代ネットワーク)導入の戦略や取り組みなどを発表するカンファレンス。10月30日~11月1日までの三日間にわたって開かれる。

 講演にはNTTのほか,韓国のKT,香港のPCCW,フィリピンやスリランカの通信事業者が主に登場する。通信事業者以外では,日本の総務省や香港のOFTA(Office of the Telecommunications Authority )といった通信関連の規制当局,NECや米ソナス・ネットワークスなどのメーカーも講演を行う予定。